在ロサンゼルス日本総領事館は曽根健孝総領事の着任レセプションを17日、総領事公邸で催した。総領事は地元政財界や日系主要団体の代表らを前に日本政府の対外政策に基づく南カリフォルニアでの日系企業への支援や環境政策への協力、日本文化の紹介、日米の人的交流などに意欲を示し、全力で任務を全うすることを誓った。招待客約200人には、和牛やすし、天ぷらなどの日本食や日本酒を振る舞い、もてなした。

招待客を一人一人迎える曽根総領事(左)

 曽根氏は、すべての招待客を一人一人ていねいに迎え入れた後、着任のあいさつに立った。南カリフォルニアについて、日本人が日本国外として世界最多の9万人在留し、さらに米本土で最も多い28万人の日系米国人が暮らしていることに触れ、総領事としての重要な職務は、在留邦人の保護と日系企業の支援であると説明した。カリフォルニア州の経済規模は「国別」で世界第4位になる見込みであり、その生産の半分をまかなう南カリフォルニアに日系企業は注目し続けている。日本からの投資額は世界各国の中で最大で、日系企業は約7万5千人の雇用を創出している。さらに、同館が管轄するアリゾナ州について、顕著な人口増と経済成長を挙げた上で、「全米で最も重要な半導体製造のハブになろうといしている。半導体関連の日系企業にとってはビジネス拡大を図る大きな機会が今後の数年に期待される。私のこれからの仕事は巨大で、とてもやりがいがある」と述べた。

 「サブナショナル外交」による日米交流を推進する意思を示し、三つの政策の頭文字をとった「E・S・F」を紹介した。
 最初の「E」はExchangeを意味し、さまざまなレベルでの交流を推し進め、日系米国人をはじめアジア・太平洋諸島系(AAPI)、ラテン系、ユダヤ系、アフリカ系、アルメニア系などの市民との間で前任者が築いた親交を受け継ぐ。学生、学校、次世代のリーダーなど若者の交流は未来にとって特に重要であるとし、姉妹都市関係も含めた数多くの「交流の輪」の強化を図る。また、人的交流の再開に意欲を示し、日本人観光客の当地への誘致と、反対に当地からの訪日観光促進に力を入れるという。「南カリフォルニアは世界的に見ても文化交流が盛んなので、日本の伝統文化と、アニメ、漫画、音楽、映画といった日本のポップカルチャーの促進に努めたい。食文化も重要で、質の高い健康的な日本食をプロモートしたい」と抱負を述べた。

テラサキ武道館のライアン・リー館長(左)と握手する曽根総領事

 次の「S」は、Sustainability。カリフォルニア州は環境保護と気候変動の政策で世界をリードしていると称賛し、「水素などの環境分野で多くの先端技術を持つ日系企業がイニシアチブを取ることができ、ビジネスチャンスでもある」と力説した。
 最後の「F」は「FOIP=Free and Open Indo-Pacific」で、これは安倍晋三元首相が提唱した外交上の「自由で開かれたインド太平洋」構想の頭文字であると説明した。曽根氏は当時の安倍内閣と緊密に働きFOIPを推し進めた実績を持つといい、この考えを取り入れた多くの国々との連携を意味するという。前任地インドから異動した曽根氏は「インド、日本、米西海岸はいずれもインド太平洋に面している」と述べ、当地でのFOCG推進に懸ける強い意思を示した。
 最後は、当地での任務の全うを誓い、「『FOCG=自由で開かれた総領事』でありたい」と笑いを誘ってスピーチを締めくくり、大きな拍手を浴びた。

日本酒と焼酎の紹介ブースで試飲する招待客

 南加日米協会会長の三好麻里氏は、曽根氏について「『自由で開かれた総領事になりたい』がとても印象的で、身近さと温かさを感じた」と述べた。さらに、「われわれの組織が事業を行う際には、総領事館からの支援やパートナーシップを得られることが一番心強い。『開かれた…』と言ってもらえたので、親身になって耳を傾けていただける印象を持った。すごく楽しみにしている」と日米協会と総領事館との協業に期待を膨らませた。
 この日の料理は、公邸料理人の飯澤諒氏が考えたメニューで、曽根氏の出身地である北海道の特産と郷土料理を前面に押し出した。「柔らかくておいしい」と1番の人気を呼んだ十勝ポロシリ和牛の他、ジンギスカン、じゃがいも、みそ風味の「サケのちゃんちゃん焼き」など、当地の食材を巧みに北海道風にアレンジし、招待客をもてなした。
 曽根総領事の米国赴任は、2013年以来3度目だが、総領事館勤務は初めてだという。「誰でも気軽に相談でき、一緒になって協力できる『敷居のない総領事』を目指したい」と語った。プライベートでは「趣味のゴルフを楽しみたい」と述べ、2度目のホールインワン達成を目指す。

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