50周年記念昼さん会に参加した会員ら。久方ぶりに親睦を深めた
あいさつに立つ岩倉美石会長

 文化書道米国連合会(岩倉美石会長)はこのほど、設立50周年を記念した展示会をトーレンスの都ハイブリッドホテルで催した。新型コロナウイルスの影響で2020年より誌上展示会となっていたがこのたび3年ぶりに一般に作品を公開した。展示会に先駆け開催した昼さん会では会員をはじめ32人の招待客らが集い旧交を温めたほか、表彰式も行われ各賞の受賞者をたたえた。
 文化書道米国連合会は、1972年に井上拓泉師により5教場が開設された。翌年に日本の本部から米国羅府支部として認可され、以来米国で日本の教育書道である文化書道の継承および普及に尽力している。現在、ロサンゼルス郡とオレンジ郡に教室があり、子どもから大人まで幅広い世代が学んでいる。作品は毎月日本の本部で審査され級や段を受けることが可能だ。
 20年と21年はコロナ禍を考慮し、展示会開催の代わりに作品をまとめた冊子「誌上展示会」を発行していたが、今年は三段以上の会員による34作品と二段以下の会員による26作品が会場を飾った。

登壇した梁重石理事長。書道普及の意欲を示した

 50周年記念昼さん会のあいさつに立った岩倉美石会長は、展示会の再開を喜び「ぜひ展示された書をじっくり見て、今後の書道の糧にしてほしい」と会員を激励した。続いて梁重石理事長が「コロナ禍では2年にわたり誌上展示会を余儀なくされていたが、今年50周年の節目に展示会を開催する運びとなった。これからも当地で盛り上げていきたい」と意気込みを語った。
 岩見恒石顧問の乾杯の音頭から食事に移りしばし歓談を楽しんだ後、来賓らによるあいさつが行われた。登壇した書道家の伊藤牧石師は「92歳の今も書道を精力的に続けている。うまいかどうかは別として書くことの喜びを毎回感じている。50周年と言わず100周年まで続けられるように、会の存続を願っている」とエールを送った。

岩倉会長(左から2人目)から表彰状を授与された受賞者。左から中平宏子さん、山本希菜さん、菅沼美穂さん

 その後、岩倉会長、土田明夫氏、飯田悦雄氏、馬場達夫氏がそろって登場し、50周年記念を慶し「祝賀の詩」を吟じた。続いて、田畑彰氏のバイオリンによる日本童謡メドレーが披露され、復興支援ソング「花は咲く」では会場が合唱する場面も。最後に表彰式が行われ級保持者の金・銀・銅受賞者を発表し、昼さん会に参加していた受賞者に岩倉会長から表彰状が手渡された。書道を始めて1年ほどだという山本希菜さんと菅沼美穂さんは親子そろっての受賞となった。菅沼さんは「コロナ禍であまり教室に行けなかったが受賞できてうれしい。書道は親子で一緒に始められるところもいいですね」と喜びを語った。
 昼さん会終了後の取材に応じた岩倉会長は「書道の良さがさまざまな形で米国社会に広がっていることを実感している」と話し「アニメの人気や日本語クラスの影響などもあると思うが、最近は若い人たちの間でも書道は日本の素晴らしい文化の一つだということが伝わっていると思う。書道に興味を持つ人が増えるようにこれからも普及活動に力を入れたい」と抱負を述べた。

3年ぶりに催された展示会。受賞作を含む作品が会場を彩った

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