
LA着物クラブが3年ぶりとなる着物コンテストを1日、小東京のお正月イベントの舞台で開催した。あでやかな着物姿の出場者が着物の魅力とお正月らしさを振りまいたが、その陰にはコロナを乗り越えて再始動した新しい着物クラブの姿があった。
コロナの影響で各地の催しが中止されたことに加え、同会を牽引してきた指導的立場の幹部が引退するなど、いろいろな事情から過去3年は活動停止に追い込まれた。そんな中から会員が奮起し、「今年こそは!」とコンテスト開催にこぎ着けたという。イベントを牽引した同会の副会長・真下あかねさんに開催の苦労とこれからの方向性を聞いた。
イベント自体も開催決定が遅れ、主催者から打診があったのは昨年12月に入ろうとする頃だったと、真下さんは振り返る。

「今からでは何をやるにも時間がなさすぎると、一度はお断りしようと思いましたが、メンバーからの強い推しがあり、私自身腹をくくって『Yes』と返事をしました。そこからはもう毎日頭の中はコンテストのことでいっぱいでした。現在動けるメンバーは4人と数少なく、毎週ズームミーティングをしながら全てのことを計画して進めていきました。みんなそれぞれ仕事や家事育児の間に参加してくれ、各方面に連絡を取ってくれたり宣伝してくれたりと本気で動いてくれました」
今回、真下さんが指揮を執ることになって、どうしても取り入れたいことがあったという。
「その一つは観客投票制度。その場にいるお客さんに携帯からQRコードで投票してもらい、審査の一部にするというアイデアです。それと、出場基準を下げて、コンテストをもっと敷居の低いものにするということ。前回までは未婚女性のミスコンと男性だけのミスター着物コンテストで、年齢も16歳以上と決まっていました。でももうそれではなかなか短い期間で人は集められない。そこで性別も年齢も人種も問わない、『ステージ上でのパフォーマンス性だけで判断しましょう』ということにしました」
その結果はすこぶる好反応だった?
「観客からの投票と共に皆さんからいろいろなうれしい感想を頂きました。出場者も、ふたを開けてみると意外にもティーンの女の子が多く、ミセスとミスの親子参加や、男性でも女性の着物が着たいという人まで参加してくれることになりました。今までにはなかった、まさに斬新かつとても時代に合ったコンテストになったと自負しています」
今回入賞したのは1位リリー・スミダさん、2位エイミー・マシモさん、3位リア・ガダスさんの3人。出場者の半数は当日の朝に真下さんが着付けを施したが結果的に入賞した3人は自分でもしくは家で家族に手伝ってもらって着てきた人たちだったという。「自分で着たかどうかは審査項目ではありませんでしたが、着物に対する慣れや強い想いが結果に出たのかも」と真下さんは感想を口にする。
「今回の成功を機に、今年はもっとイベントを増やして新体制で活動の場を広げていきたい」と抱負を語る真下さん。まずは2月初旬に新年昼食会を開き、集まれるメンバーで今後のクラブの方向性について意見交換をするつもりだという。
「これからLA着物クラブが日本人だけでなく着物を愛する全てのLAローカルの人たち、そして若い世代の人たちにとっての着物の憩いの場になればいいなと強く願っています」とコロナを超えての再生を誓う。

1位のリリー・スミダさんの話 ミス・キモノLA2023に選ばれてとても光栄です! 私は16歳で、ニューベリーパーク高校の3年生です。3歳の時、吾妻流日本舞踊の寿会で吾妻菊寿恵師に師事し、初めて着物を着ました。着物への情熱は日本舞踊から始まりましたが、昨年、着物の着付けを学んで着付けの芸術性に触れたことから、着物への情熱が高まりました。
着物を通して日本の歴史を学ぶのは楽しく、また着物を着ていると自分の文化とのつながりを感じます。音楽は私のもう一つの大きな情熱であり、クラシックの歌唱、ピアノ、佐々木光儀流の先生の下で津軽三味線を学ぶことを通じて自分を表現しています。クラシック音楽の発表会などのイベントに着物を着て出演することで、文化を融合しています。最近は洋楽と邦楽を取り入れた音楽の作曲も始めました。
コンテスト出場は良い経験となり、着物や日本文化に興味を持っている多くの素晴らしい人々に会うことができました。今後、ミス・キモノLAとしてイベントに参加したり、日本文化を共有したり、他の人に着物について学んだり着たりすることを奨励したりして、ミス・キモノLAにふさわしい活動ができることを楽しみにしています。