
Q キアヌ・リーブスとは「47 Ronin」以来ですが、連絡を取り合っていましたか?
真田 「47 Ronin」の仕上げ作業が割と長くて、延べ2年くらいかかったと思います。その後、最後に会ったのは「47 Ronin」のニューヨークでのプレミアでした。それ以降は直接会うことはなかったですね。人伝えに「よろしく」とか、いわゆる「ニアミス」というのはありましたが…。お互い携帯の番号は知っていても、そう頻繁には連絡取り合わないですね。実は「ジョン・ウィック パラベラム」にキャスティングされていたんですが、直前にけがをしてしまって…。現地まで行ったんですが、どうにも回復が間に合わなくて、キアヌと監督のチャド(・スタエルスキ)に「ごめんね。けがをしてしまって、ご一緒できません」と伝えました。泣く泣く身を引かざるを得ない状況がありました。そのときには直接電話で話しました。キアヌの方も心配して直接電話をくれました。それ以来ですね。けがはその後すぐに回復したので「申し訳ないことしたなぁ」と思っていました。
今回の「ジョン・ウィック チャプター4」では監督から電話がきて、「君のために役を作ったから、『はい』と言ってくれ」と言われました。しかも、「ジョン・ウィックの古い友人という設定でお願いしたいんだけど」と。前回、迷惑かけたにもかかわらずまた声をかけてくれて、これは何としても応えなきゃという思いがある上に、「長年の友人」という設定がすごくうれしかったです。二つ返事で「やります。撮影現場で会いましょう」と、即答しました。
Q けがは何が原因で、どんなけがだったんですか?
真田 セルフトレーニングでけがしました。「ジョン・ウィック パラベラム」への出演が決まってから自分なりの強化トレーニングのメニューを作ってやっていたんです。それこそ、「待ってろ、キアヌー」って言ってる最中に、「おっとっとっと」と…。自主トレでのけがなので本当に申し訳なくて…。アキレス腱(けん)を切ったんです。撮影までには治る期間があったんですが、大事を取ることになったんです。
Q 普段、どんなメニューでトレーニングされていますか?
真田 綿密なスケジュールを立ててやってるわけじゃなくて、ケースバイケースです。日常的にはウォーキング、軽いジョギング、ストレッチで、あとは逆に、プレーンに保っているというのが最近のやり方です。作品が決まって、どんな動きが要求されるか、どれくらいの体力が必要かというのに応じてメニューを変えていきます。常に同じことをやっているというわけではないですね。

ウォーキングは「1日最低7千歩は歩こう」というのはあります。1日1万歩をキープしていた時期もありますが、最近はその時の疲れ具合に応じて、トータルでそれに近いものにしています。だから1日何時間歩くというのはないです。忙しい時にトータルである程度の目標を達成するための工夫というのは、やっています。例えば車で移動する時、途中で降りて歩いて帰るとか。それはジャッキー・チェンもよくやっていました。撮影中、一緒にレッスンに行くと、帰りは必ず歩いていましたよ。20分から30分。スタントマンを引き連れて歩いて帰っていました。
Q 本作では娘を持つ父親役。実生活でも息子さんが2人いらっしゃいますが、親になって、それまでの自分と変わった点や、彼らから逆に学んだことを教えてください。
真田 自分の小さかった頃を思い返して、「今のこの時代だと、そういうことを考えるんだ」というのを発見します。自分と違う世代のことを彼らから知ることができるというのは確かにあります。今回、娘役のリナ・サワヤマさんは演技が初めてということもあって、なるべく父親と娘の絆作りをしようと思って、トレーニング中やトレーニングの後に1日1回は読み合わせをしたり、歩きながら演技のプランを立てたりっていう時間を極力作りました。その中で自分の世代とは違うもの、彼女なりの感性で感じること、脚本から読み取ることの違いなどを知って学ぶところもありましたし、それを生かすにはどうしたらいいかと考えて、逆にいろいろ教えたりもしました。動きの見せ方でも、カメラのアングルによってどうすれば最も効果的に見えるか、とかね。そうして、できるだけ時間を共有して親子の距離を縮める役作りをしました。
なので初日に現場に入る頃には、なんだか本当の親子のような感じがしました。彼女も自信を持って現場に出て来たので、短期間でもいい時間を持てばここまで来れるんだっていうのを知って、その反応の早さや良さ、感覚の素晴らしさを見せてもらえました。
Q 人生山あり谷ありですが、谷に落ちた際の経験談や、どうやってはい上がったのか、後輩へのアドバイスとして教えてください。
真田 落ちる時は落ちるところまで落ちてしまえって感じで、自分をほったらかすんです。それで本当に落ち切ったところで、どっちの方向にはい上がればいいか、自分の心の声を聞くといいますか、自分をごまかさず、自分の本当の奥底、心の声を聞く。そうすると、今、自分がやるべきことや、本来やりたかったことが見えてくるんです。今までの方向が違っていたとしたら、軌道修正するいい機会をもらったと思って、今、信じられるベストの方向に向かってはい上がろう、一から始めようって考えます。そして、なぜ今、このタイミングで、こういうことになったんだろうって考えます。今、ハードルを与えられている、これをどうやってはい上がるのかを見られている、試されているなって思うんです。もう1人の自分が頬づえをつきながら「さあこいつはどうやって立ち直るんだろう」って見ている…ってね。立ち直った暁には、ここまで今度は行くぞと、沈み込んだ分もっと高く飛ぶぞって自分に誓ったりするんです。「越えられないハードルは用意されないだろう」っていうポジティブな考えを基に客観的な目を持つと、ただただ暗闇で苦しむだけでなく、割と光明が早く見えてくるのかもしれないという気がします。(はせがわいずみ、写真も)
