ゴールデンウィークは近場でのんびりと過ごした。どこか国内旅行をしたい気持ちもあったけれど、結局そういう気分にはなれなかった。
旅行に行きたい欲求をそがせたのは外国人観光客の多さである。これに日本人客も相まってあちこちがすごい人の波。コロナ禍の反動とはいえちょっと尋常ではない。
都心に住んでいるのでそういった場面に遭遇しやすいというのはあるかもしれないけれど、一瞬ここがどこの国か分からなくなることもある。マナーがいい人ばかりではない。銀座の中心で地べたに座って食事をしていたアジア人グループを見かけた時、面白い光景ではあったが、さすがにやめてほしいと思った。
様子を見ていると、すし、ラーメン、うどん、そばなどの「ザ・日本食」の店が特に混み合っている。知り合いのそば屋の店主によると、地元の人や常連客を並ばせるのが申し訳ないほどの行列という。築地場外市場周辺の通りは地元民が通り抜けできないほどだという。
私にとって特に痛いのは、近所のお気に入りのカフェにも朝から行列ができるようになってしまったことだ。コロナの制限がなくなったのはありがたいけど、居心地のいい場所がなくなっていくようで腹立たしい気持ちになることもある。
やっぱりそこで暮らす生活者と観光客の両方が快適に過ごせるような施策が必要だと思うし、究極のところ入国の上限を設けてもいいのではないかとも思う。こういう意見を持つようになったことに私自身が驚いている。
留学時代に香港人のクラスメートが話していたことを思い出した。中国本土からの移住者が多くて地元の人が入院できなくなっていた話や、南の島国に中国人観光客が押し寄せたことで自然環境が悪くなり、経済を優先するか、それとも固有の自然とそこで暮らす人々を大切にするのかの議論になっているという話だった。今はどうなっているか分からないが、現代社会の大きな問いの一つなのだと思う。
そんなことを考えてモヤモヤしながら過ごした連休だったけれど、久々にパソコンを開かずのんびりできたのは良かった。夏休みには観光客となって海外に出かけたいと思っている。その土地に住む人の生活におじゃまをする、という謙虚な気持ちは忘れたくない。(中西奈緒)
