3月に行われたホノルル公演。生演奏とコーラスで2世兵士の物語を盛り上げた (写真=ポール・ベラ)

 コスタメサの「レネー&ヘンリー・セガストローム・コンサートホール」は6月7日、第2次世界大戦の2世兵士の勇姿をつづった物語「Defining Courage」を一夜限りで上演する。
 第100歩兵大隊、第442連隊戦闘団、軍事情報部、第552野戦砲兵大隊の隔離部隊で戦った2世兵士の歴史を巡る旅を、生演奏と映像で演出した舞台である同作は、ABC7のニュースキャスターを務めるデイビッド・オノ氏とプロデューサー兼エディターのジェフ・マッキンタイア氏が制作し、昨年10月に小東京のアラタニ劇場で初演し好評を博した。今年3月にハワイで上演した際は3公演が完売となり、前ハワイ州知事のデイビッド・イゲ氏を含む観客が鑑賞した。
 6月7日のコスタメサ公演は、特別番組として後日ディズニーABCで放映される予定だという。ABCニュースのキム・グッドウィン社長は同作を「魂に永遠に鎮座する物語である」と称賛している。
 同作は、映像とともに歴史の物語をさらに盛り上げる音楽の生演奏とコーラスの一体感が楽しめるライブ形式の舞台である。オノ氏は今回の公演では著作権の問題を考慮しオリジナル楽曲に取り組んでいることを明かしており「音楽が観客によく知られていれば物語とひも付けることができるが、なかなか難しい。しかしうまくいけば、この物語は独り歩きをし始めてくれるだろう」と羅府新報のインタビューで述べている。
 2世兵士の物語は伝説となっており、中でも第100/442部隊は、その規模と兵役期間に照らして、米軍史上最も多くの勲章を授与された部隊である。オノ氏のナレーションによって観客は第2次世界大戦の最も重要な戦闘の場にいざなわれ、二世兵士がどこで戦い、どこで散っていったかを垣間見ることができる。オノ氏とマッキンタイア氏はヨーロッパを訪れ、部隊が戦った村や森を歩いたという。
 先に行われたロサンゼルスの公演では最後に退役軍人が舞台上で表彰された。2世兵士の物語は、オノ氏とマッキンタイア氏が長年にわたり語り継いできたもので、オノ氏は「始まりはゴー・フォー・ブローク全米教育センターで開催されたパーティーでの基調講演だった」と説明している。
 オノ氏とマッキンタイア氏はジャーナリズムを通して魅力的な物語を伝え、歴史の重要な出来事を広く啓蒙することを目的として非営利団体「ストーリー・ボールドリー」を設立しており、「Defining Courage」はその活動および使命の一部である。「われわれが作り上げたこのストーリーテリングの手法を用いて、他のテーマでも同様に楽しく、より魅力的で、より没入感のある公演を通じて若者たちに歴史の物語を伝えていきたいと考えている」とオノ氏は述べている。
 コスタメサ公演の実現には、セガストローム芸術センターのジェーン・フジシゲ・ヤダ理事長の支援が大きい。同センター初のアジア系理事長であるヤダ氏が小東京のコミュニティーの人々と知り合い、同公演のことを知ったのがきっかけで「コスタメサでの公演が実現した」とオノ氏は振り返った。「公演からの売り上げは、米国人に2世兵士の物語を知ってもらうための教育カリキュラムを作るために使われる。上演には非常にお金がかかるが、南カリフォルニアのコミュニティーが一丸となって資金を集め、今まさに実現しようとしている」と語った。
 オノ氏は、公演にできるだけ多くの退役軍人が参加することを望んでいるほか、公演が第2次世界大戦中の日系米国人兵士の奉仕と犠牲に対する認識を高めることを願っている。「会場が満席になり、感動的で、そして考えさせられる夜になることを期待している。これは米国の歴史上、最もダイナミックな物語の一つ。私はいつも制作の目標は『メジャーな映画』となることだと考えているが、われわれはこの公演でそこに到達するつもりだ」と語った。(グエン・ムラナカ)
 Defining Courage
 日時 6月7日(水)午後7時
 場所 Renée and Henry Segerstrom Concert Hall(600 Town Center Dr., Costa Mesa)
 入場料 25ドルから
 チケットの購入—
 www.scfta.org/events/2023/story-boldlys-defining-courage
 公演に関する情報は公式サイト—
 www.DefiningCourageShow.com

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