「家族にはいろいろなかたちがあります。ここではそれら全てを祝います」。これは、イギリスの作家メアリ・ホフマン氏の絵本「The Great Big Book of Families」のそでに書かれた紹介文だ。この本は、家族構成や住む家、学校や仕事のスタイル、伝統的な祝い事や感情表現の仕方、ファミリー・ツリーなどを取り上げながら、ロス・アスクィス氏の心温まるイラストと共に、家族の多様性をシンプルかつ巧みに紹介している。「いろいろ いろんな かぞくのほん」の邦題で日本語訳も出ている。
ロサンゼルス統一学校区から正式に承認された一冊なのだが、この本を巡り先々週、ノースハリウッドの小学校で親らが衝突し警察が出動する騒ぎが起きた。LGBTQ+への支持を示すプライド月間の今月、同校が計画した集会で、同性の両親についても触れているこの本が読まれることに一部の親が強く反対したのだ。1週間前には校内の鉢植えでLGBTQ+の旗が燃やされる騒動があり、論争が加熱した。
実際にこの本を読んでみると、問題とされたのは全33ページ中の1行だけ、「中には、母親が2人あるいは父親が2人の子どももいます」の部分で、集会の反対者がこの本を読んでみたのかどうか謎だ。「家族」について書かれたこのページではその他にも、父と母がいる子、母親だけの子、祖父母と暮らす子、養子縁組で里親と暮らす子が紹介されている。どれもリアルな現実で、子どもたちを取り巻く日常である。
以前、同性婚について取材をした時、男性同士のカップル宅を訪れた際に日本茶と和菓子がサッと出てきて感動したことがある。また、複数回の体外受精を経てやっと子どもを授かった女性同士のカップルが赤ちゃんをあやす光景はとてもほほ笑ましかった。私の周りにいる同性カップルは、社会的な地位も高く、立派に子どもを育てている人が多い。
今回のノースハリウッドの小学校で起きた出来事から感じるのは、現実から子どもの目をそらすのは不可能だということ。違う世界に目を向けてみると意外な発見もあり、それまでの偏見や思い違いが改められることがあるかもしれない。
(平野真紀)
