先月、日本にようやく一時帰国することができた。8年ぶりの帰郷に胸が踊った。帰国中、年々増える外国人旅行者が気になった。コロナ禍の激減を経て訪日してくれるのはありがたく、観光立国を目指している日本にとって大事なお客さまだ。
 聞こえてくる外国語の会話から判断して、近隣の韓国、中国、台湾、香港、東南アジア諸国が多かった。アジアと欧米からのお客さんの10人ほどと話すことができた。「ようこそ日本へ!」と歓迎し、日本の感想を尋ねると、真っ先に「食べ物がおいしい」と口をそろえた。そして「物価が安く、豊富で質の良い品を買うのが楽しい」「公共交通が便利」「町がきれい」などと、べた褒め。日本を好きな人たちからの五つ星の高評価に気分が良くなり、愛国心がより強くなった。あえて言うなら、いいことずくめのはずはなく、改善する点を聞くべきだったか。
 食べ物のおいしさは、日本食に限ったことではないという。中華や洋食、コーヒー、スイーツなども自分たちの国で食べるよりもずっとおいしく、しかも安いと喜んでいた。ちなみに日本食の中で一番人気は、やはりすしだった。新鮮さもさることながらネタの数がずっと多いことも教えられた。アジアからの観光客に英語で話しかけると問題なく会話ができ、英語が不得手な日本人よりもずっと国際人のような気がし、頼もしく見えた。
 異国の地にもかかわらず、旅行者はもはやガイドブックを誰一人として持っておらず、みんなスマートフォンを頼りに不便なく電車や新幹線に乗って旅する。スマホは買い物でも威力を発揮し、カメラ売り場とメガネ店で目にした店員とのやりとりもなんら問題はない。翻訳アプリを使い、音声入力で話しかけると瞬時に訳された日本語が聞こえてくる。店員の説明に納得し、慣れた様子で支払いを済ませていた。技術の進歩さまさま。
 訪日客の購買力は旺盛。それはもちろん円安の恩恵が大きいが、質素倹約が美徳とされる日本人と好対照に映った。訪日を歓迎する半面、経済力を付けたアジア諸国がうらやましく思えた。(永田 潤)

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