
一息ついたと思った新型コロナウイルス感染症だが、実は依然として社会の脅威となっている。保健当局によればアジア系米国人コミュニティーにおける感染者死亡率は20%で、他の人種コミュニティーと比べて衝撃的な数字であるという。カリフォルニア州保健当局は1日、記者会見を通じて各国語による予防案内を発信し、市民に対して冬の感染症予防に今一度気持ちを引き締め、ホリデーシーズンに備えてワクチン接種を受けることを推奨した。
人が集まる機会が多い年末年始を前に、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスによる感染症の予防は重要であり、特に英語を母国語としないアジア系のコミュニティーにとっては、正確な情報や、当局が提供するさまざまな手段にアクセスできることも大切だ。
カリフォルニア州公衆衛生局のローハン・ラダクリシュナ医師を筆頭に、バイリンガルの医師らが中国語、モン語、ベトナム語、日本語および韓国語で呼びかけを行った。日本語はサンフランシスコ在住の小児科・福田泰子医師が登壇した。

福田医師はインフルエンザおよび新型コロナワクチンの追加接種を推奨。「新型コロナについては『最後にワクチンを受けたのは1年半も前だった』という人も多いと思う。秋に新しいワクチンが出たが、アジア系コミュニティーでの接種率はまだ、50〜64歳で9・9%、65歳以上で13%だ。ぜひ受けてほしい」と奨励した。さらに一番大切なこととして、「マスクをする、手を洗う、病気だと感じたら人の集まるところに行かないなどの、感染予防をすることだ」と話した。
医師らは、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種しても問題がないこと、体に抗体ができるまでに2週間ほどかかるので、感謝祭に備えて今がワクチン接種に最適の時であることなどを説明した。両ワクチンとも生後6カ月以上であれば接種可。妊婦や高齢者、免疫が落ちている人は呼吸器感染症を引き起こすRSウイルス(RSV)のワクチンも推奨されるが、現在、RSVワクチンは供給不足にあるという。
州保健当局はワクチンに関する思い込みや誤解を払拭し、最新で正しい情報を伝え、ワクチン接種を促進したいとしている。新型コロナウイルス感染症のワクチン、検査キット、治療において、無料のオプションが引き続きあることにも注目したい。無料でワクチン接種ができる場所、陽性検査ができる場所、デジタル接種証明などはカリフォルニア州公衆衛生局の専用ウェブサイト「マイ・ターン」に集約されている。日本語を含むさまざまな言語に対応している。
https://myturn.ca.gov/
陽性検査おいては、米政府による簡易検査キットの無料配布が再開している。1世帯につき4回分のキットを郵便で受け取れる。検査キットには消費期限があるので、自宅にある期限切れのキットは廃棄して、新しいキットを申し込むこと。申し込みはウェブサイト—
https://www.covid.gov/tests
また、疾病対策センターが提供する下記のサイトで、全米を対象に、陽性検査を受けられる場所を検索することができる。
https://testinglocator.cdc.gov/
また、新型コロナ感染の疑いがある場合は、かかりつけ医または緊急治療院(アージェント・ケア・センター)を受診する以外に、下記のサービスを利用することもできる。
「新型コロナ・ホットライン」
テストと治療場所の照会。電話833・422・4255。
「セサミケア」
無料の電話/テレビ電話相談を予約。通常は一両日以内に受診可能。電話833・686・5051。またはウェブサイト—
sesamecare.com/covidca
新型コロナウイルス感染症の重要化を防ぐ治療薬は、市民権や在留許可、健康保険の有無にかかわらず、新型ウイルス検査で陽性を示した12歳以上のカリフォルニア在住者の全てに無料で提供される。ここで注意したいのは、治療薬は症状が出てから5〜7日以内に服用しなければ効果が得られないため、症状が穏やかだからといって様子を見ることはせずに、症状が出たらいち早く行動に移すことが肝心だという。
一般的に要注意とされるのは妊婦、高齢者、他の病気の治療で体の抵抗力が落ちている人たちなどだが、重症化は50歳以上、追加ワクチンの未接種、肥満、運動不足、喫煙、ぜんそく、糖尿病、人種的マイノリティー、精神疾患(うつなど)の状況下でも多く発生する。
「治療薬を無料で提供されなかった」などの相談や質問も「ホットライン」が受け付ける。電話833・422 ・4255。またはウェブサイト—
YouCanBeatIt.org
