
日本語教育を支援する「オーロラ日本語奨学金基金」(阿岸明子理事長)の設立25周年記念イベントが催された。21日の表彰式では4人と1団体をたたえ、翌22日のベネフットコンサートではシンガーソングライターで同基金名誉会長のさだまさしさんが熱唱した。今回のイベントをもって設立時から担ったそれぞれの役職を退く阿岸さんとさださんは最後の大きな仕事を終え、有終の美を飾った。
表彰式は、ハリウッドのジャパンハウスで開かれた。日本語教師として奨学金を受けたのはイリノイ州のエバンストン・タウンシップ高校で日本語を教えるマーガレット・オコーネルさん。そして、同基金が主催する「米国高校生による日本語スピーチコンテスト」で優勝したオレゴン州サウスリッジ高校のズル・卓如・ジョさんが紹介された。さらに25周年記念の「国際親善大使賞」として同基金の運営に尽力したグレース柴さんと住山弘・妙子夫妻を表彰した。柴さんは基金のイベントで司会を務め、住山弘さんと故人の妻妙子さんは理事として基金を支えた。また25周年記念国際特別賞として、さださんが主宰する「風に立つライオン基金」で「高校生ボランティア賞」に輝いた岡山県立倉敷古城池高校のチーム「ワッショイ!とーかーず」が団体として表彰された。オーロラ基金の奨学金受賞者は、今回で合わせて101人になった。


高校生のジョさんは、優勝スピーチ「本からもらった人生の教え」を熱弁した。中国出身のジョさんは母親の影響で子どもの時から読書が好きだったという。本のおかげで「幼い私の世界は色濃く広がり、幸せな幼少期を過ごした」と話し始めたジョさん。だが米国に移住した12歳の時、「キラキラした世界は終わりを迎えた」と言う。当時は学校にアジア人が少なく、周りと自分の違いをいつも気にしていた。友達ができず学校生活にもなじめず、孤独の日々を過ごした。そんなどんよりとした気持ちを忘れるために夢中になれるもの探し、見つけたのが日本文学だった。太宰治の「人間失格」を読み、「太宰さんも私と同じ気持ちでこの小説を書いたのではないかと思った。複雑な人間性を細かく描写していたことが、今まで読んできた本と全然違った」と続けた。読み終えた時にモヤモヤした気持ちになったが、悲観はしなかった。その理由として「私は家族が好きだから憂鬱(ゆううつ)にならなかった」と述べ、「きっと母が与えてくれた本のおかげで私の心は守られた。どんな人でも本から人生の導きをもらえると信じている」と締めくくった。ジョさんは日本の高校生のような流ちょうな日本語で、手振り身振りを使って感情を込めて伝え、来場者を驚かせた。現在は12年生で今秋、大学に進学する。

倉敷古城池高校の「ワッショイ!とーかーず」は「こども食堂」でのボランティア活動をきっかけに、食品ロス削減の啓発活動を行っている。「食品ロス」と「子どもの貧困」という課題解決に向けて地域と連携し、「こども食堂」や小学校、公民館などを回り、料理の提供や料理講座、出前講座などを実施している。代表して訪米した7人が「MOTTAINAI(もったいない)」をテーマに英語でプレゼンテーションを行った。食料過剰が食品ロスにつながるとし、「この矛盾する世界を変えたい。食品に対する意識を子どもたちに教え、子どもたちをハッピーにしたい」と訴えた。「1人がみんなのために、みんなが1人のために。日本のユニークな文化である『MOTTAINAI(もったいない)』を家族や友達に伝え広めてほしい」と呼びかけた。

住山さんは妙子夫人の遺影を抱いて登壇し、基金への25年の活動支援に対し「皆さんのおかげで続けてこられた」と謝意を表した。第2次大戦を小学生の時に経験した住山さんは「世界から悲惨な戦争をなくすことが切なる願いである。オーロラは私の願いに沿っているため参加し、20年近く関わってきた。本当に素晴らしい基金である」とたたえ、さらなる発展を願った。
柴さんは、オーロラ基金けん引者の阿岸さんのリーダーシップを称賛し、日本語教師への奨学金授与、日本語のスピーチコンテスト、日本文化の習得などのプログラムを列挙し「オーロラは素晴らしい活動をしていて、日米の懸け橋となり親善に貢献している」と称賛した。「オーロラで長い間ボランティアをすることができてとてもうれしい。この賞を両親にささげたい」と語った。

