アジア系米国人および太平洋諸島住民への人種差別に基づく事件や犯罪を通報・報告することは、ヘイト(憎悪)と闘う重要な方法だ。「LA vs Hate」は、ロサンゼルスの住民にコミュニティー内でのヘイトを報告することを奨励する郡主導のプログラムである。「LA vsHate」ホットライン(211)に電話すると、住民はロサンゼルス郡ヒューマンリレーション委員会にヘイトを報告することができる。211は警察とは関係なく通報内容を共有することはない。
 通報後、通報者はケアコーディネーターの案内の下、メンタルヘルスカウンセリングや法律サービスなどの支援を受けることができる。ホットラインは24時間対応で140の言語に対応している。
 211に通報する場合、匿名通報が可能で、その内容はヘイト予防と被害者のための癒しに取り組むパートナー組織とロサンゼルスヒューマンリレーション委員会にのみ共有される。もし被害者が通報できない場合は、第三者が代わって行うことも可能だ。米国内のアジア系米国人および太平洋諸島住民に対する差別やヘイトクライムを追跡している非営利団体「Stоp AAPI Hate」によると、ヘイトを記録する上でも第三者は大事な存在であり、2020年から22年にかけて6件に1件は友人や親戚、もしくは全くの他人が被害者に代わり報告したと推定されている。
 ロサンゼルス郡で「StоpAAPI Hate」の助成金を管理している「AAPIエクイティーアライアンス」のプロジェクトディレクターを務めるキラン・バラさんは「ヘイトを通報・報告することは非常に重要だ」と言う。 「米国におけるヘイト事件を単に日常の一部とみなし疑問視しない人たちに遭遇したことがある」と話すバラさんは「われわれの取り組みの一環としてこのような事件は決して普通ではない、許されないことだ。止める必要がある」と述べた。
 新型コロナウイルスによるパンデミックが始まった20年以降、1万1409件以上のヘイト行為が「Stоp AAPI Hate」に報告された。同団体によると、20~22年にかけカリフォルニア州だけで4117件のヘイト行為の報告を受けており、これは1日当たりほぼ6件だった。その大半は言葉によるいやがらせ、身体的暴行、脅迫、器物損壊で、つきまといやストーカー行為も多く見られた。また、咳払いをされたり、つばを吐きかけられたという報告は343件もあった。
 このデータには、カンボジア人や中央アジア人、中国人、フィリピン人、ラテン系、モン族、インド人、日本人、韓国人、ラオス人、太平洋諸島出身者、台湾人、タイ人、ベトナム人などであることを自認する人々による報告が含まれている。
 言葉によるいやがらせには、あからさな中傷や人種差別的な発言が含まれることがある。ジョージア州に住むある男性からは「郊外のレストランに向かう階段を上っていたら、『おい、オサマ・ビン・ラディン』と声をかけられた。『何て言ったんだ?』と聞い 0たら『F—k yоu』と返された」という報告が「Stоp AAPI Hate」に寄せられた。また、別の報告ではミシガン州の男性が歯医者でのアポを終え駐車場に戻ると、車体が傷つけられ 「Dо Nоt B Asian(アジア人はお断り)」という文字が書かれていたという。
 非営利団体「カンボジアタウン」の理事会事務局長を務めるマリコ・カーンさんは「事件が報告されるようになってようやく、われわれは起こっている出来事の重大さを理解し始めています」と述べた。
 前出のバラ氏は「人々が『LA vs Hate』(または州主導のプログラム「CA vs Hate」)や『Stоp AAPI Hate』のようなホットラインやウェブサイトに報告すれば、政治家らの関心を集め、これらのプログラムに資金を投入する」と述べた。一方で、「この問題が真剣に扱われなければ、明るみに出ることもなく資金も投入されず問題は悪化していくだけだ」と警鐘を鳴らした。

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