夏の参議院選挙は7月13日までが投票期限で、自宅に選挙用紙が届くわけではなく、事前に在外選挙人登録をする必要があります。日本に在住していなくても、18歳以上の日本人は選挙をする権利を持っています。それは日本が民主主義の国であり、選挙によって国民の意思を反映させることができるからです。
しかしながら、1956年まで外部と連絡ができないという理由で、国政選挙ができなかった東京都の村がありました。それが日本で一番小さな村、伊豆諸島の青ヶ島村です。村での最初の参議院選挙での投票日には、晴れ着姿で投票に行ったそうです。小さい村だからこそ、「物申すんだったら投票しなきゃダメだ」という精神があり、投票率は約80%もあるそうです。日本で一番投票率が低い地区が40%前後ですから、実に有権者の約2倍の意見が、自治体の運営に反映されていることになります。
ところが、悲惨な投票率の場所があります。それが日本国外在住の方のための、在外選挙です。2000年まで海外に住んでいる日本人は、国政選挙の投票ができませんでした。それが憲法に違反していると立ち上がったわれわれの先輩方が、公平な選挙権を求めて最高裁判所までの裁判で勝ち取った権利が、在外選挙なのです。
海外在住の日本人の有権者は、102万人を超えています。24年の衆議院選挙で、投票をしたのは約17000人です。つまり投票率は2%以下でした。せっかく勝ち取った選挙の権利は、98%以上の人に行使されていないのです。もちろん、遠過ぎる投票所、短過ぎる投票期間、間に合わない郵便投票という不便な投票制度であることを鑑みても、この投票率の低さには悲しくなります。
世界中の在外公館で行われた選挙の投票用紙は、大使館や領事館の職員が運んでいます。憲法を守るため、民主主義を実現するための選挙には、莫大な税金と世界中の在外公館の方々の苦労のおかげで成り立っているのです。在外選挙は、不便な制度の大きな村で行われます。だからこそ、「物申す」人でありたいのです。(アサクラ ユウマ)
