甲子園で熱戦が繰り広げられた夏の高校野球をインターネットで無料視聴し、楽しませてもらった。高校生らしい全力のプレーはすがすがしく、感動を覚えた。
さて、その中に1人、気になる選手を見つけた。打撃フォームがドジャースの大谷選手そっくりなのだ。背筋を伸ばして左打席に立ち、軽く構える。左のひじを上げ、バットを握る両手は顔の高さに達し、ノーステップ、タイミングの取り方、アッパー気味のスイングの軌道、さらにはボールを打った後のフォロースルーやボールの見上げ方までもが似ている。本家の大谷選手が見たらどう思うか知りたくなるほど。試合そっちのけで見入ってしまった。私の少年時代、プロ選手の打撃フォームや投球フォームをまねると、監督やコーチから怒られものだが、時代は変わったようだ。
大谷選手は、高度な技術と球界きってのスイングスピードで、難しい低めの球をスタンドの中段にまで運ぶ。打った瞬間にそれと分かる柵越えを確信すると、バットを放り投げ、ゆっくりと一塁に歩く。その姿はスーパースターそのもの。他方、この選手のまねは打撃フォームまでで、甲子園では大谷選手のような豪快なホームランを見せてもらうことはできなかった。
何しろ今大会のホームランはわずか10本。以前に比べて本数が大きく減ったが、これは低反発バットの影響だとされる。投手の安全を考えて導入されたが、低反発バットで打つと飛距離は伸びず、ホームランはおろか長打も出にくい。そのせいで試合は淡々と進む感じがして、プロ野球と比べて面白みに欠けるが、将来のある若い選手の安全には代えられない。
球児から「聖地」としてあがめられている甲子園。閉会式では、決勝で戦った両校が「栄冠は君に輝く」という行進曲で退場した。この曲の歌詞が素晴らしく、高校球児にふさわしい応援歌に聞こえた。そして、決勝戦を実況したアナウンサーが試合後に「勝者も敗者もない」と言い放った言葉が心に残り、「栄冠は全ての選手に輝く」と感じられた。選手には大人になっても高校生らしいさわやかさを持ち続けてもらいたい。大谷選手のように。(永田 潤)
