20年ぶりに元日が雨に見舞われたロサンゼルス。小東京ではウェラーコートと日本村プラザで、恒例の正月イベント「お正月イン・リトル東京」が開催された。会場には雨対策のテントが設営され、ほとんどのプログラムを予定通り実施。午後には雨も上がり、日本文化に関心を寄せる家族連れや地域住民らが集い、思い思いに正月の雰囲気を楽しんだ。 (長井智子、写真も)

日系社会の代表らによる鏡開きで新年を祝う。主催の南加日系商工会議所の山崎会頭(左から4人目)をはじめ、室田総領事(同2人目)、神谷首席領事(同8人目)も参加

 イベントは和太鼓の演奏で幕を開け、鏡開き、餅まき、獅子舞、書道や武道の実演、民謡や踊りなど、日本文化を象徴する演目が披露された。またオニヅカ通りには餅や酒を含む日本食の屋台や、物販、特設神社、子ども向けのクラフトコーナーが設けられ、世代を超えたにぎわいを見せた。

「ジェンカ」のリズムに乗って輪になって歌い踊る「ちーむ河内音頭」と来場者。汗をかくほどの熱狂でウェラーコートのテントステージを盛り上げた

 とりわけ、紅白の餅をまく「餅まき」は人気を集め、新年の「福」をつかもうとする人々で会場は歓声と興奮に包まれた。餅は1街の老舗和菓子店「風月堂」が毎年提供している。見事に餅を手にしたのはロサンゼルス在住のケイコさん一家。毎年来場しており、今年は友人家族と連れ立って訪れたという。「雨が上がったので急いで来た」とケイコさんが笑顔で話す。到着は午後2時ごろ。「ちーむ河内音頭」の踊りにも参加し、汗をかくほど盛り上がった。踊りを満喫した後は、これから屋台を見て回る予定だという。「毎年参加していて、お正月の風物詩のような存在。今年も家族や友人と新年を祝えてうれしい」と語った。

お正月イン・リトル東京で恒例の餅まき。新年の福をつかもうと手を伸ばす

 イベントを主催する南カリフォルニア日系商工会議所のジェフ山崎会頭は、雨の予報が1週間ほど前から出ていたことから、「開催については悩んだ」と振り返る。「だが、ここまで準備を重ねてきた行事を中止にすると、全てが無駄になってしまう。雨でも実施できる形で何とか続けたいと考えた」。

 会場に設営された大型テントは、ロサンゼルス市の全面的な協力により実現できたものだという。「テント設営は市が支援してくれた。市当局ぐるみでこのイベントを支えてもらっていることに、改めて感謝している」と、行政の協力に謝意を示した。小東京に拠点を置き、昨年120周年を迎えた同商工会議所がロサンゼルス市と培ってきた関係の強さが伺われる。今年で27回目を迎えた同イベントについては、「スポンサー、そして市の支援があってこそ、続けてくることができた」と、関係者への感謝を強調した。

会場を練り歩く獅子舞

 一方で、雨天対応のため一部プログラムはやむを得ず中止となった。着物コンテストは、高級呉服が少しでも濡れると手入れが難しいことから見送られた。武道など、滑ると危険が伴う演目は、安全を優先して、天候を見ながら可能な限りの実施とした。幸い雨は早く上がり、午後には雲の切れ間から青空ものぞいた。

 雨の影響で人出は昨年より少なく、「例年ならパサデナのローズパレードから流れてくるお客さんも多いのだが」と残念そうに語る関係者もいたが、むしろ雨天にもかかわらず多くの人が訪れた様子から、お正月行事として同イベントが地域に定着していることが伺えた。

ハリウッド映画出演が決まり張り切る合気道の実演

   開会式には来賓として在ロサンゼルス日本総領事館の室田幸靖総領事一家、神谷直子首席領事、ロサンゼルス市警のセントラル地区署長、企業スポンサー、地域の代表、二世週祭女王とプリンセスらが出席し華やかに新年を彩った。力強さ、スピード、前進を象徴する「うま年」にちなみ、大きな笑顔と意欲を持って新年を迎えるように呼びかけられた。

日本村プラザのステージで、1日の最後を飾って踊る阿波踊りの連と来場者

 「お正月イン・リトル東京」を主催した南加日系商工会議所は今年、新しく就任した山崎会頭のリーダーシップの下で動き出す。山崎会頭は「日系企業に限らず、日本に関わりのある米国企業も含め、会員の輪を広げていきたい。小東京に限らず、南カリフォルニア全体を視野に、サンディエゴやサンフランシスコ、さらには日本の商工会議所とも連携し、より大きなスケールで活動していきたい」と新年への意欲を語った。

高野山では初詣、パサデナでは雨の中、ローズパレード

 ウェラーコートと日本村プラザを結ぶ1街にある仏教寺院の高野山別院には1日、今年も長蛇の列ができ、新年祈祷に参加したり、おみくじや縁起物の絵馬や破魔矢を買い求めたりする人でにぎわった。

【写真左】高野山別院でおみくじを結ぶ参拝者【同右】堂内で祈祷を見つめる参拝者

 同日午前、パサデナでは、降りしきる雨の中、恒例のローズパレードが行われ、「スター・トレック」シリーズの60周年を記念するフロート(山車)が登場。ジョージ・タケイをはじめ現行シリーズおよび過去シリーズのスターたちが乗り込み、記念ムードを盛り上げた。パレードにはパサデナ・ローズ・プリンセスの1人で日系のケイコ・ラキンさん(アーケディア高校)や、大阪の箕面自由学園高等学校のマーチングバンドも参加した。

【写真左】ローズパレードで、傘をさしながら手を降るジョージ・タケイさん(左)ら、スタートレックの出演者 【同右】クイーンとプリンセスのフロート(写真提供=ローズパレード)

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