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木曜随想:禁書

【上田勢子】 …そんなことを考えていたら、なんとアメリカで「禁書」が横行し始めたというニュースを目にするようになった。…そんなことを考えていたら、なんとアメリカで「禁書」が横行し始めたというニュースを目にするようになった。禁書は、日本では第二次世界大戦前から中期にかけての言論弾圧による禁書、中国では秦の始皇帝による焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)などが有名だし、現代でも香港やロシアの独立系新聞社が続々と閉鎖されたのも禁書の一つの形だろう。禁書の理由には、宗教的、文化的タブー、政治的などがあり、私が大学生の頃にメディアをにぎわせたのは作家、野坂昭如の「四畳半襖の下張」裁判だった。これは、月刊誌「面白半分」の編集長だった野坂昭如が、永井荷風の「四畳半襖の下張」を1972年7月号に掲載し、内容がわいせつ罪に当たるとされて、編集長の野坂と同誌の社長が起訴された事件だ。この裁判では、著名な作家が続々と証人として野坂を弁護し、私たちはその成り行きに夢中になったものだ。結局、有罪となって、いくばくかの罰金を支払うことになったと記憶している。
 何をもってわいせつ、反社会的、反文化的とするのかは非常に難しい問題だが、今アメリカの特に共和党の有力な州で起きているのは、コンサバティブな考えの保護者や政治家が、数百冊もの本を、学校や図書館から締め出そうとしていることである。