米国の他の地域と同様に、ロサンゼルス郡はパンデミック、激動経済、社会的不平等という、回復に何年かかるかも分からない三重苦に悩まされている。郡CEOオフィスの2020国勢調査主席アナリストのジェイソン・タジマ氏によると、国勢調査のLA郡の回答率は6月10日時点で57・4%だった。それは州の62・1%と国の61・4%を下回っていた。
バーガー氏は「LA郡は人口が多く、また多種多様であるため、数えるのが困難な都市と見なされており、今後の10年を決める今年の調査で再び過小評価されて資源を失うリスクを負うことはできない」と付け加えた。
タジマ氏は、現在連邦政府から州に分配されている資金に基づいて計算すると、国勢調査で数えられた一人につき1700〜2000ドルを連邦政府が提供していると割り出した。
1ドルを失うごとに、LA郡は住民に重要なサービスを提供するのがより困難になり、パンデミックと闘い続けることもより難しくなる。郡の最高経営責任者であるサチ・ハマイ氏によると、来年度の予算にはすでに10億ドルの不足が予測されている。
資金面に加えて、国勢調査には政治面の代表を導く力がある。
郡スーパーバイザーのマーク・リドリー・トーマス氏は、国をあげて構造的および体系的な不平等に取り組もうとし、人々が正義のために戦う方法を探しているような時に、2020年国勢調査はタイムリーで実践的な行動の第一歩だとした。
国勢調査にまだ回答していないロサンゼルス郡の住民の割合は43%だ。それは140万〜170万世帯、人数にすると約400万〜600万人に相当する。未回答者の啓発に取り組む公民権組織の「Advancement Project California」は、よりターゲットを絞った取り組みが必要な人口グループと地域を特定した。
ラテン系とアフリカ系米国人の回答率は、それぞれ52・1%と55・1%だ。アジア系の平均回答率は66・2%で、州の62・1%を上回っているが、内訳をみると中国、ベトナム、フィリピン、日本のコミュニティーの割合が64%から70%近くと高いのに対し、タイ、カンボジア、韓国のコミュニティーの回答率は47・4%から56・9%と低かった。
回答数を増やすために追加のアウトリーチ活動が必要な応答率の低い地理的エリアとして、サウスロサンゼルス、サウスベイ、メトロLA、サウスイーストLA、ロングビーチが挙げられている。
リドリー・トーマス氏は、このようなサービスの行き届いていないコミュニティーに住む人々が国勢調査に参加することが不可欠なのは、まさにこのような困難な状況の下で、社会的不平等に対処するのに役立つ連邦資金の恩恵を受けることができるからだとする。
パンデミックにより、国勢調査の回答率を上げるために不可欠な「訪問キャンペーン」の開始が遅れた。郡CEOオフィスの2020国勢調査マネージャーであるアビアナ・ウリベ氏は、カリフォルニア州自体はパンデミックからの再開を始めているが、戸別訪問を開始するのが安全かどうかを決定するのは国勢調査局なので全米の状況によると述べた。
現在、居住者はオンライン、電話、郵便で国勢調査用紙に記入することができる。
国勢調査局はウエストバージニア、アイダホ、メインなど6州を手始めに、7月16日から訪問調査を開始するとアナウンスしている。
6月10日と6月30日の回答率比較は以下のとおり。
・6月10日時点
全米 61・4%
CA州 62・1%
LA郡 57・4%
・6月30日時点
全米 61・8%
CA州 63・0%
LA郡 58・0%