電話があったのは先月8日、土曜の昼過ぎ。男の声で、コンピューター・ウイルスのセキュリティーソフトを提供する会社だと名乗り、「会社がダメになったので、購入者全員に399ドルをリファンドしている」と申し出た。女性は4、5年前に5年間有効のソフトをおよそ500ドルで購入したことがあったため不審を抱くことはなく「コロナで大変な今どき、お金も必要なのでありがたい」と、うその返金手続きに応じてしまった。
2日後に早速、男から電話があった。度重なる、会社のサーバーの不具合により、女性には覚えのない前回と同額の3999ドルが請求され、再び過払いが生じたという。女性は、銀行口座に2回分を合わせた7500ドルが振り込まれていることを確認した後、前回と同じ指示に従い、購入した8枚のギフトカードの写真を送った。
翌日にオンラインで口座を調べたところ、7500ドルのマイナス表示を見て驚いた。初めて詐欺に気づき「これは、たいへんだ」と、慌てて銀行に行った。調べてもらうと、身に覚えのない振替記録があった。振替は一編に行わず詐欺と気づかれないように、千ドルづつくらいに小分けにした形跡が残されていた。
ガーデナ警察に被害を出したが、その後連絡はなく、だまし取られたお金が戻る可能性は低いと、女性は半ばあきらめている。
女性は1人暮らしで、80歳の高齢ながら身の回りのことは何でも自分でこなしている。英語での意思疎通に問題はなく車も運転するなど、今回の詐欺はその自主性があだとなった。ネット上の返金手続きも他の人には聞かず1人で行い、被害を防ぐことができず 反省している。
詐欺被害については、日本で高齢者を食い物にし社会問題化しているオレオレ詐欺があることを認識していたものの、「私の周りにはいい人しかいないし、だまされたことはこれまで1度もなかったので、まさか自分が詐欺に遭うとは夢にも思わなかった」と述べた。恥ずかしくて、他の人や遠く離れて暮らす息子にも話すことができないと嘆いている。
「今思い返すと、はらわたが煮えくりかえる。私のようにバカな思いをしないために、日本人のお年寄りが、いいように扱われるのは許せないので気をつけてほしい」と、呼びかけている。実際にリファンドがある場合は電話ではなく、文書で送ってくるはずで、ギフトカードを買えなどと指示することもなく「電話で『リファンド』と話を持ちかけられたら、『おかしい』と冷静に疑ってすぐに切り、相手の言う通りに従ってはいけない」と、詐欺被害の防止を切に願っている。