日本語では、「ドカーン」「さらさら」とか、「イライラ」「ドキドキ」というような擬音や擬態語がたいへん多く使われます。これを最近はオノマトペと言います。フランス語がそのまま日本語表現として使われ出したものですが、英語ではオノマトペア(onomatopoeia)のことです。
 日本語にこれが多いのはマンガの影響があるかもしれません。マンガの吹き出しとは別に、カタカナが絵のようにデフォルメされて挿入されている場合がありますが、これがオノマトペである場合が多いからです。例えば、登場人物の頭の近くに「ポリポリ」と書いただけで、はずかしいとか、はじらう表現になります。近年は携帯メールでの自己表現も多くなってきたので、より簡潔で伝わりやすい表現が常に考え出されています。
 いかに簡単な単語で、複雑な感情を伝えるかという工夫が、こういった表現方法の変化やオノマトペを使った表現の多様化になっていったのだと思います。カタカナ表現多用への抵抗は少なからずあるとは思いますが、外国人からすれば分かりやすく、格好良い表現方法であると感じます。日本のマンガや漢字、カタカナなどがクールだと思われるのは、日本独特の表現方法が、耳にひびき良いのも要因であると思います。
 最近は日本のマンガが世界中で読まれているので、こういった独特の表現を現地の言葉に翻訳することが難しい場合があると聞きます。
 一番難しいのが静寂を表す言葉だそうです。日本語だと「シーン」などで表す言葉が例えば英語では存在しません。
 「シーン」と書くと通常発音しているように思われるのですが、日本人にはほぼ共通の発音体感があるので、これが発声されていなく、静かな様子であるということを理解することができます。
 日本語の急激な変化に疑問を投げかける一面は否めませんが、時代に合わせた言葉を生み出すことで、コミュニケーションを円滑にする姿をみることができます。【朝倉巨瑞】

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