エンザイン社との売却交渉がまとまり、手続きに入った敬老シニアヘルスケア(敬老)の施設のうち、ボイルハイツにある敬老引退者ホームと敬老中間看護施設
エンザイン社との売却交渉がまとまり、手続きに入った敬老シニアヘルスケア(敬老)の施設のうち、ボイルハイツにある敬老引退者ホームと敬老中間看護施設

 小東京の東方約3マイル、ボイルハイツの引退者ホームなど4つの日系コミュニティー高齢者用施設を運営している「敬老シニアヘルスケア」(敬老)とカリフォルニア、ネバダ、テキサス州など12州で高齢者施設を運営しているエンザイン・グループ社との間で進められていた売買交渉がまとまったことが15日までに分かった。売買契約が合意に達したことで、今後はライセンスの移行やその他の必要な法的手続きが行われる。ただし、最終的な売却額は現在、調整中という。

 敬老引退者ホーム、敬老中間看護施設、敬老看護ホーム、サウスベイ敬老看護ホームの4施設を運営している敬老シニアヘルスケア代表で最高経営責任者のショーン三宅氏は売却手続きの開始に当たり、「過去数年にわたり、多くの協議、調査を重ね、そして心情的なことも考慮した結果、敬老理事会と首脳陣は、敬老の各施設をより大規模で経済的に安定しているヘルスケア組織に売却することにより、施設がより長期にわたって日系コミュニティーに奉仕できるだろうと判断しました。米国内の大半のヘルスケア組織は、今後、ヘルスケアのシステムが劇的に変化していくとの認識をもっています。敬老の創立者たちも、今回の決断が長い目で見て日系コミュニティーにとって最善な方策であった、と考えただろうと信じています」とのコメントを発表した。
 三宅代表はさらに、「エンザインやその他の可能性のある買手と協議を重ねた結果、最終的にエンザインに決定した。エンザインが私たちの文化にも理解を示し、尊敬してくれると信じています。同社は財政的、技術的に大規模であり医療保険改革による要求にも応えることが出来ると思います。そして現在働いているスタッフをそのまま維持し、各施設を現在の状態のまま運営していくと信じています。これは敬老施設にとって良いニュースですし、コミュニティーのためにも看護の手段が維持できることは良いことだと思います」と付け加えた。
 また、敬老シニアヘルスケア前理事長の川名フランク氏は、「私は敬老の三宅氏と看護施設の施設長の3人でエンザイン施設を見学しましたが、そこは非常に近代的で心地よく、高評価を受けていることに感銘を受けました。私はその経験からエンザインとの統合は敬老施設にとって良いことであり、改善も期待できると思います」としている。
 一方、エンザインの社長兼最高経営責任者のクリスチャンセン・クリストファー氏は、「敬老の象徴である文化的な価値に深く敬服し、その責務と伝統的なケアを任されることを光栄に思います。私たちは敬老が長い間コミュニティーに提供してきた偉大な業績を継承し、向上させることに励み、敬老のこれまでの成果を基に前進することができることに胸が高鳴る思いです。エンザインの特徴である現地に溶け込んだヘルスケアにより、居住者、スタッフメンバーそしてご家族の個々の必要性に応じたサービスを提供することができます」との運営指針を述べている。
 売却手続きが完了して運営がエンザインに移行された後も、施設の居住者に数々のプログラムが継続して提供される。また、敬老が過去10年以上にわたり日系コミュニティーに提供してきた健康に関するリサーチ、コンファレンス、トレーニング、介護者の相談、記憶力の促進、転倒防止、糖尿病や慢性病の管理などの生涯教育コース、オンラインによる情報の提供、健康に焦点を当てた催し、高齢者の生活の質の向上に関するプログラムなど、健康とその促進に関するサービスをより拡大して提供していくとしている。
 
敬老シニアヘルスケア
 敬老シニアヘルスケア(敬老)は1961年、8人のコミュニティーのリーダーによってパイオニア一世(日系一世)のために文化的背景を配慮した環境の中で心のこもった質の高いヘルスケアを提供することを目的に創設された非営利団体。過去50年以上、高齢者を対象に、文化的背景を配慮した看護、健康に関する情報や個人、家族、コミュニティーの福祉向上などのプログラムを提供し信頼されてきた。敬老はまた、コミュニティーのニーズの変化に応じて新しいプログラム、サービスを提供し、過去10年にわたり介護者のためのコンファレンスなど、コミュニティーでの教育プログラムも提供してきた。さらに在宅高齢者のために慢性病の予防・管理に関するサポートプログラムも設立した。敬老(高齢者を敬う)という命名は、日系コミュニティーの価値感と高齢者の生活の質の向上を目指す敬老の誓約を反映したもの。詳細は敬老ウェブサイトを参照。
 www.keiro.org

エンザイン

 エンザイン・グループ社は、それぞれ独立した子会社を通して、スキルドナーシング、アシステッドリビング、理学療法、作業療法、言語療法、在宅介護、ホスピスケア、緊急看護サービス、その他のリハビリとヘルスケアなどのサービスをカリフォルニア、アリゾナ、テキサス、ワシントン、ユタ、アイダホ、コロラド、ネバダ、アイオワ、ネブラスカ、オレゴン、ウィスコンシン州にある126の施設、8つのホスピス会社、10の在宅介護事業、11の緊急看護クリニックにおいて広範囲にわたり提供している会社。詳細はエンザインのウェブサイトを参照。
 www.ensigngroup.net

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