ねぶた祭の成功を祈り、新年の祝杯を挙げる参加者。手前右から豊島顧問、奈良会長と岡本さん
ねぶた祭の成功を祈り、新年の祝杯を挙げる参加者。手前右から豊島顧問、奈良会長と岡本さん
 南加青森県人会は、新年総会と親睦会を参加者約50人を集め18日、小東京の青森県人会館で開いた。奈良佳緒里会長と前会長の豊島年昭顧問が、青森市観光大使に任命されたことが発表され、会員一同は故郷のPRと、今夏の二世週祭で催す、ねぶた祭に向け一致団結を誓った。

 青森県人会館は、豊島さんが昨年、私財を投じて購入し所有する。「倉庫」などと揶揄されることもあるが、中味はまったく異なり濃く、県人会とねぶた囃子保存会の活動やねぶたを制作し保管する基地などと、郷土文化発信の重要な拠点となる「宝庫」である。豊島さんは「(治安が良いとは言えず)物騒なところにある」という一方で、「パレードの出発点に1ブロックと近く、『一等地』にある」と、胸を張るのが頷ける。8月16日のパレードでは、ねぶたと囃子、ハネトが、ここから一斉に「出陣」する。

エンターテインメントの囃子の演奏で鉦を鳴らす奈良佳緒里会長
エンターテインメントの囃子の演奏で鉦を鳴らす奈良佳緒里会長
 青森から招く、ねぶた師の竹浪比呂央さんが同会館で、ねぶたの制作とオープンハウスを開く。来月を予定し、和紙や針金の材料と道具を海上で輸送したが、到着するロサンゼルス港の港湾労働者のストライキの影響で、コンテナが入港できないため、3月に延期するという。
 新年会では、8期目続投が承認された奈良会長があいさつに立った。これまでの7年間会長を務めることができたのは、青森県人会の役員、会員と、県人会協議会など地域社会の支援に尽きる、などと謝意を表した。ねぶたについては「われわれの子どもであり、豊島さんが名付けた『青森二世』である」と強調し「ここからが大事なので、協力をお願いしたい。ねぶたで、日本人町に来る人をびっくりさせよう」と話し、囃子の稽古に励むとともに、オープンハウスへの参加を呼びかけた。観光大使については、来月5日に市長室を訪れ、就任するといい「青森の観光紹介のために、みんなで頑張ろう」と気勢を上げた。
 昨年の二世週祭の実行委員長を務め、ねぶた関連では青森との交渉を行う岡本雅夫さんが祝辞を述べた。今年の二世週祭について「第75回記念を盛り上げようと、テリー・ハラ実行委員長を中心に頑張っている」と説明。ねぶた招聘のために2年準備したといい「2007年と09年に青森からねぶたを呼んで、多くの日本人が参加して盛り上がった。このたびも、青森のみなさんの協力が必要です」と呼びかけた。
新年会のクライマックスのねぶた囃子の演奏
新年会のクライマックスのねぶた囃子の演奏
 囃子保存会の豊田房子さんは昨夏、本場青森のねぶた祭に参加した。LAの囃子と比較して、レベル的にはさほど差はないが、市民ぐるみの「ねぶたに対する情熱」に大差を感じた。さらに、見物人とのコミュニケーションを学び「客を巻き込む、魅せるねぶたにしたい」と述べ、新会員の勧誘に意欲を示した。
 乾杯の音頭を囃子保存会メンバーの山村俊夫さんがとり、昼食をともにした。エンターテインメントはもちろん、これしかない。「ドーン」と、轟く太鼓を合図に演奏開始。ねぶた囃子のメンバーが、笛と太鼓、鉦の音を響かせると、釣られた参加者はハネトになったように「ラッセラー」と叫び、本番さながらの熱演で盛り上がった。会が最高潮に達したところで、三本締めで閉会した。
 奈良会長は「今年は二世週祭75回記念と、ねぶた祭が重なり大きな節目になるので、例年とは違って腹を決めている」と意気込む。ねぶた祭の準備と、青森からのゲストの接客などで忙しくなるといい「苦しみが大きいだろうが、楽しみも大きい。『二世ねぶた』の産みの苦しみを、楽しみに変えることができるように、みんなで頑張って成功させたい」と抱負を述べた。
 二世週祭と県人会、囃子保存会は、ねぶたオープンハウスの参加者と、囃子のメンバー、ハネトを募集している。問い合わせは、岡本さんまで電話626・943・8882。メール―
 okamoto.niseiweek@gmail.com
【永田潤、写真も】
県人会館で初めての新年を祝った青森県人会のメンバー
県人会館で初めての新年を祝った青森県人会のメンバー

青森市観光大使に任命される豊島年昭顧問(写真左)と奈良佳緒里会長(同右)
青森市観光大使に任命される豊島年昭顧問(写真左)と奈良佳緒里会長(同右)

豊田房子さん(中央)ら囃子のメンバーの演奏
豊田房子さん(中央)ら囃子のメンバーの演奏

三本締めを行う参加者
三本締めを行う参加者

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