Click here to view English coverage
川口氏、三宅氏とは対照的に、パシフィカ社のタイラー・ベルディク氏、看護ホームの運営を委任するアスペン社のライアン・ケース氏は会場の雰囲気に緊張した面持ちで座っていた。タイラー氏は「スムーズに管理を移行させたい。みなさんの声を聞きたかったので集まってくれて感謝している」と話し、また、ライアン氏は「みなさんとこれから一緒になることを光栄に思う」と伝えると会場からは即座に「まだなっていない!」というブーイングが起きた。「敬老の50年歴史は変えない。今まで20年間100ヵ所で運営してきた経験があるから大丈夫」と話すと会場からは「本当か?」という疑問の声が投げ掛けられた。ライアン氏は「本当だ」と答えた。「ウエストミンスターのベトナム人ホームの時も、変わり目は同じように難しかったが皆で協力して乗り越えることができた。今みなさんは『SAVE KEIRO』というパネルを持っている。私も同じ気持ちで『SAVE KEIRO』をしたい。みなさんの信頼を得て、それを育てていきたい」と伝えると、川口氏や三宅氏の話の時とは違い、会場からはぱちぱちとまばらだが拍手が起きた。
質疑応答は、敬老側が事前に入口で参加者に質問内容の記入を促し、それをもとに進行された。敬老側の司会者は賛成派と反対派の質問をバランスよくうまくコントロールして選びだしていたようで、それぞれの人たちにマイクの前で質問をしてもらった。
長年、敬老でボランティアをしているヘレン・フナイ・エレクソン氏は「5年以内に死んでしまいたい、という入居者の声をよく聞く。家族がここに居なかったり、帰るところがない高齢者のために売却金を使うことはできないのだろうか」と疑問を述べた。
川口氏は多くの批判が三宅氏に向いていると指摘し「敬老に関するすべての決断はボードメンバーに責任があって、スポークスマンとして私たちはショーンを選んだにすぎない。そのことを強調しておきたい」と話した。また、ジャック・クリハラ氏はヘルスケア市場の変化の観点から、フランク・カワナ氏は前理事長の立場から売却賛成の意見を述べた。
会の終盤、フロア席は白熱し「もういい、あなたたちの話はききたくない」という声も響いた。そして「敬老を守る会」のリーダーの1人ジョン・カジ氏が話をしようと前に進み出てて、敬老の広報担当オードリー氏に止められた。「どうかスケジュールにしたがってください」。ジョン氏は「5分だけもらえませんか」と言い、2人はにらみ合いになり、オードリー氏は深いため息をついてマイクを譲った。
ジョンは「私はここに敬老を代表して来ている一人ひとりを尊敬しています。しかし、今回あなたたちが敬老に対してしていることは信用することができない。住居者やかれらの将来のためにお金を残すべきだ。もし今後、敬老側と日系社会が合意に達することができないのであれば、私たち反対派グループは売却を止めるために、必要であれば法的、政治的手段などなんでもとる予定でいる」と伝えた。
実際すでにアクションは起こされており、カリフォルニア州下院議員で州議会で高齢者と長期看護委員会の副議長を務めているデビッド・ハドレー氏(66地区)は10月16日付けで州司法長官に手紙を送付、今回の敬老の売却取引を延期できるようにしてもらう内容の書状で、州司法当局がそのロサンゼルスオフィスで公聴会を開くように依頼している。