Click here to view English coverage
カジ氏はこの日の朝、ロサンゼルス・オフィスのウエンディ・ホロウィス副司法長官に事前にEメールを送っていた。ホロウィス氏は敬老がエンザイン社と売却手続きをした際、そして、次のパシフィカ社との手続きの際に一般の人たちから意見を募った時の窓口となった担当者だ。
Eメールでは署名を今日届けること、ロサンゼルス・オフィスにて敬老売却をめぐる公聴会を開催してほしいことを伝え、その理由として、「『敬老シニアヘルスケア』はこの非営利団体に関わってきた人たち(ステークホルダー)、すなわち居住者、家族、寄付をしてきた人たちに、今まできちんと情報を提供してきていない。さらに、敬老は公聴会を開催する権利の放棄を要求し、それを手に入れ、日本語と英語の両方で売買の取引について十分に公開してこなかった。それらが原因となり、州司法当局が受け付けた意見公募期間にコミュニティーから寄せられる意見が極端に少ない結果となった」とした。また、すでにカリフォルニア州議会で高齢者と長期看護委員会の副議長を務めているデビッド・ハドレー州下院議員(66地区)がカマラ・ハリス司法長官に公聴会の開催を依頼する書状を送っていることも加えて伝えた。
ハドレー議員が10月16日付けで送った書状には「66地区を代表して敬老4施設がパシフィカ社に売却されることを延期し、ロサンゼルス・オフィスでこの問題に関する公聴会を開いてもらいたい。『敬老シニアヘルスケア』は複数の施設を所有していて、その1つが私の選挙区にある。さまざまな売却の条件によってここで暮らしている高齢者たちが、最終的には施設を出なくてはならない状況になるのではないかと、とても心配している。売却が完了する前に、高齢者たちは自分たちの心配や意見をきちんと表明する機会を与えてもらいたいと望んでいる。他の理由を挙げると『敬老シニアヘルスケア』は非営利団体として運営され、もともと多くの人たちの寄付で建設されて成り立ってきたことから、売却は寄付者の意図に反していて、契約違反であると私は考える」と述べられている。
今回の敬老の売却をめぐる手続きにはカリフォルニア州司法当局の3つのオフィスが関わっている。今回の署名は以前に公募意見を受け付けたロサンゼルス・オフィスを通じて、非営利団体・慈善事業を企業が買い取るケースなどを専門的に扱っているサンフランシスコ・オフィスのスコット・チャン副司法長官にまず送られ、サクラメント・オフィスのハリス司法長官が最終的な判断を下すことになる。
ジョン・カジ氏はガーデナで不動産業を営み、父親は全米日系人博物館の創設者の一人であり、初代理事長のブルース・カジ氏。母親フランシスの父は医者で、日系人病院の創設者のキクオ・タシロ氏。ジョン氏は長年日系社会に深く貢献してきた家族の中で育ち、彼もその思いを引き継いでいる。
現在、数人の弁護士、会計士、ロサンゼルス市・郡・カリフォルニア州・連邦レベルの政治家たちも関わり、売却の延期と公聴会の開催を目指して動いているという。
「敬老を守る会」は州司法当局向けとは別に、敬老側に提出する署名も集めている。この目的は敬老の金銭面での情報公開とその説明を求めるもので、現在およそ3千人分の署名が集まり、近く提出される。
署名は、今まで行われた2回のコミュニティー集会や同会のメンバーが自分のネットワークを使ってコミュニティーセンターや県人会などさまざまな場所で集めたもので、今月末までに1万人の署名を集めることを目標としている。署名はオンラインページ(http://savekeiro.org/)からも可能で、インターネットにアクセスできないが署名を希望している人には「敬老を守る会」の代表の1人、チャールズ井川氏が窓口となって対応している。井川氏の電話番号は562・402・4315。
カリフォルニア州司法長官ロサンゼルス・オフィスに署名を届け終えたジョン・カジさん(左)