招待選手では、男子がウエルドン・キルイ選手(ケニア)が2時間13分8秒で、女子はナタリア・レオノコバ選手(ウクライナ)が2時間30分39秒で、それぞれ優勝した。4位までを占めた同じケニア勢に競り勝ったキルイ選手は、前半のスローペースは気にならなかったといい「(ケニアの)同僚と一緒に参加して走りやすかった。優勝できてうれしい」と語った。レオノコバ選手は、独走の優勝を自己ベストで飾り「練習通りに走ることができ、好記録を出せてよかった。ロサンゼルスは、応援する人が多いので、気持ちよく走ることができた」と喜んだ。
一般ランナーも力走を見せ、練習の成果を発揮し、2万610人が完走を果たした。
モントレーパーク在住の吉田太郎さんは、4度目のロサンゼルスマラソン。3時間15分台の記録を持つが、今回はタイムを度外視し、故意に後ろからスタートし、追い上げてランニング仲間を写真とビデオで撮影することを目的とした。2台の小型カメラをそれぞれ頭に付け、手に持ち、時間をかけて撮り、3時間38分25秒で終えた。初めてカメラを手に持って走り「腕が振れないので、スピードは出せず、ペースを上げることができなかった」と話し、予想以上に負担が大きかったという。だが「ロサンゼルスマラソンは知り合いが多く、ランニング仲間と沿道で応援してくれる友人を撮る目的が果たせてよかった。お祭り気分で『みんなで走った』という感じで盛り上がり、楽しかった」と喜んだ。今大会のために走り込んで付けた持久力を維持しながら、スピード練習に磨きをかけ、4月のボストンマラソンに臨み、自己ベストの更新を狙う。
トーレンスに住む森辰雄さんは、今回で12か13回目というロサンゼルスを走り切った。自己ベスト3時間50分のいい記録を持つが、大会に備えた練習は昨年まで1度も行ったことはなく「一発勝負」(森さん)だった。だが、娘の夏音(かのん)さんが高校に進学しクロスカントリーを始めたのをきっかけに、朝に一緒に走るようになったという。今大会はスタートから好調を維持し「(朝練の成果が)効いている」と実感。22マイルを3時間40分台の快調なペースで通過したが、その直後の残り4マイルの地点で、右太ももがけいれんし足が釣る不運に見舞われた。1・5マイルほどを歩きゴールを目指すしかなく「いいペースで来てたので、情けない結果になり悔しい」と述べた。
森さんはマラソンについて「長距離を走るので、つらいことばかりで、楽しいことは1つもない」と話す。ただ「走り終えると不思議と、また次にチャレンジしたくなる」といい、その繰り返しで参加している。ロサンゼルスマラソンに毎年出る理由は「LAの町を感じられるから」とし、走るコースは「住むエリアによって人種が違いまた、生き方も違うことが感じられる。苦しい思いをして走る見知らぬ自分に声をかけてくれるのが、たまらない」と述べた。【永田潤、写真も】