ラスベガス、シカゴ、サンフランシスコと久しぶりに3連続出張をこなした。どの旅路も異なる航空会社だった。浅ましくも全て同じエアラインだったら得したのに! と正直思ってしまった。マイレージ・プログラム(英語ではFFP、Frequent Flyer Program)が脳裏から離れなかったのである。もちろんポイントをため、やがては無料航空券などさまざまな特典が得られるが、何よりもステータスが上がり搭乗の際に長い列に並ばずに早めに乗れるメリットが魅力だ。
 現在ではどこでも普及しているいわゆるポイントサービスだが、感心するほど「顧客に還元させる」うまい仕組みだ。顧客が利用したがる動機をそそる。クレジットカード会社とコラボしてボーナスポイントが増えたり、宿泊券、食事券、映画鑑賞券、雑誌購読やオンラインショッピングなどあらゆる用途へと展開した。ちなみにユナイテッド航空のプログラムで最多ポイント商品を調べると230万5500点でローランドの革新的デジタルVグランドピアノが出てきた。
 ところで発案者は一体誰か? 諸説あるが大まかな見解はこうだ。最初に確立したのは、1981年5月にアメリカン航空のようだ。航空業界の自由化政策に伴い競争が激化し、顧客確保に躍起になってマーケティング戦略を模索した。当時の社長ボブ・クランダールによる説から、実は広告代理店DDB社の創立者の一人であるビル・バーンバックが発案者という説もある。常連客を待遇するアイデアを取り入れたが、すぐには軌道に乗らなかったらしい。しかしそのコンセプトを基盤に幾度も練り直し、コンピューターの発達に伴って最終的にAAdvantageのプログラムを作り上げた。
 ではそもそも、その代理店の発想はどこから? クライアントの銀行が、新たに口座を開いた顧客にトースターや電気毛布を与えるプロモーションを実施し大成功した。そのアイデアに目を付けたのである。
 今後もサービス向上を期待する。理想は全航空会社のマイレージを一つにまとめて使えるようになればありがたいのだが…。そうなれば、もう列に並ばなくて済む近道となる。【長土居政史】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です