日本食のトレンド紹介に力を注ぐ同社だが、エキスポ実行委員長を務めた同社の阿部真臣・仕入部・アシスタント副社長によると、30回の節目にイベントを始めた原点に回帰し「古き伝統を継承しながら、新たな風を吹き込もう」と再定義したという。温故知新の意味を込めた同社の造語「新風故源(しんぷうこげん)」を旗印に「本物を届ける場所」と位置づけ臨んだ。
同社は和食の啓蒙に力を入れており、イベントでは専門家を招いた各種セミナー「和牛のおいしい調理法」「200ポンドのマグロの解体の実演」「地酒のペアリング―宮崎牛と本マグロ」「包丁の砥ぎ方」を開いた。
ウィティアの目抜き通りにすし店「だから」を構えるジェイソン・エノモトさん、関さおりさん夫妻は、宮崎牛を試食し納得の表情を浮べ、最高級の「A5」を注文した。「宮崎牛は、結構売れる」という板前のジェイソンンさんの調理法は3種類。「炙ってほんの少し塩と刻みわさび」「大根おろし」「ガーリックチップ」を客の好みに合わせて出す。さおりさんは、取り揃える地酒について「にごりと樽がよく出て、一番の人気(ブランド)は『菊水(新潟)』」と説明。この日は、共同貿易がトレンドとして紹介した、みぞれ酒とぬる燗に興味を示したが「やっぱり、うちのお客さんはホットかコールドのどちらか」といい、ぬる燗を今後、店で出すかの問いには「お客さん次第。(メニューにはまだない)焼酎も同じ」と答えた。店は、バーを含め全36席を常連客が埋め繁盛し「開店して5年で、地元で愛されビジネスは伸びている」と述べた。
山本共同貿易社長
「日本食は『世界の食』になる」
「日本食は、『世界の食」になる。『おいしい』『健康にいい』『見て美しい』の三拍子揃っている料理は、世界になかなかない」と力説する山本社長。フレンチやイタリアン、メディタレニアンなどのレストランでは、日本食のすしや刺身(カルパッチョ)がメニューに入っている」と指摘し「境なく、アメリカ人の食文化のメインストリームに入りつつある」と力を込める。
ラーメン、焼き鳥、回転すしなど大衆料理と、「おまかせ」メニューが人気を呼ぶすし、割烹の高級料理の流れを「二極化」と捉え、今後もこの傾向に対応する構えを示す。
大衆化について「日本食の裾野をいっそう広げ、日常化につながっている。将来、アメリカ人のダイニングスタイルに入る一つの道筋をつけている」と歓迎。大衆店、高級店とも日本で成功した専門店が進出することで「業界全体のレベルを押し上げておいしくなっている。それが消費者の満足度を上げ、日本食はさらに発展している」と評価。
発信するトレンドは「日本食の流れは業界がお客さんとともに作るもの。その流れを見極めながら、次の新しいトレンドをこれからも作って行きたい」と意欲を示した。
イベントを振り返り「お客さんの熱気をじかに感じた。どのブースもお客さんとメーカーの商談が盛んで非常に良かった」と喜んだ。顧客を満足させる食材やひと味違った調味料、味のいい地酒、厨房機器、すぐに役立つレシピを提供したといい「今日来たお客さんが、そういう何かを発見して、明日の日本食の鍵となるようなものを見つけてもらったとすれば本望」