6月25日、モデルでタレントのキム・カーダシアンが補正下着ブランド「Kimono」をSNS上で発表した。直後からそのネーミングに批判が起こり「炎上」。ハッシュタグ(検索の際、目印となる言葉)「#Kim Oh No」を筆者が初めて見たのは翌日、友人の1人が自身の白無垢姿とカーダシアンの補正下着の写真を並べてSNS上に投稿したものだった。
 「Kim Oh No」がまさか「Kimono」だとは思わず、「Kimにかけてブランド名をつけた」程度の印象だった。ところが友人の意見をよく読んでみると、どうもそうではないらしい。白無垢を指し「これが着物です。あなたの下着ブランドにKimonoを使うのはやめて」と率直に書かれていた。
 カーダシアンのSNSには「15年も温めてきた下着のコンセプト」の割に、なぜそれが「Kimono」なのかの説明は一切無い。「身に付けるもの」という共通点だけの似ても似つかぬものに、どうして「きもの」と名付けたのだろう。
 カーダシアンが商標取得するかもしれないと批判や不安は一層広がった。着物文化を海外に発信する際に「Kimono」と自由に表示できなくなる恐れがあるからだ。
 「#Kim Oh No」の広がりを受け、28日、京都市長は声明を発表。カーダシアン本人に宛て日本の着物文化とその世界への広がりを説明。共有の財産であるため、単一に使用されるべきではないとの趣旨を記した。
 当地在住の音楽家が自身のSNSで「署名運動も必要では」と掲載すると、「外務省ジャパンハウス様カーダシアンにコメント出して!」、「ロサンゼルスの日本人アーティストでもサポートしよう!」などの意見が続いた。
 正しい日本文化発信のために組まれた外務省の予算の詳細も書き込まれる中、署名サイトが立ち上がる様子も刻々と投稿された。「日本人の対応が遅きに失しては…」との思いが感じられた。
 1日午前7時頃。カーダシアンは自身のSNSを通じ「ブランド名の変更」を発表。最後まで「なぜ」は解明されなかった。【麻生美重】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です