我が家にお掃除ロボットがやってきた。
 iRobot社のお掃除ロボットRoomba(ルンバ)が2002年に発売されて以来、他社からも同じような商品が登場し、店頭だけでなく知人宅で見る機会も増えた。が、共働きの忙しい家庭に必要な家電のように思えて、これまでは全く興味が無かった。ところが高知の実家でその働きぶりを目にして考えが変わり、購入となったのだ。
 実家では、ロボットが部屋中をウロウロする様子が可愛らしいと、92歳の義母が声を出し手をたたいて喜んでいた。たまに隅にはまりカタカタと音を立ててもがくと、手を出してやらずにはいられない。本来は人手をかけずに部屋を清掃することが使命のロボットだが、時間のたっぷりある人間には、力のいらない掃除道具というだけでなく、眺めていて十分楽しく、まるでペットが増えたような感覚だ。
 ペットを愛する人には犬派、猫派といるが、わが家は犬派だった。わが家の犬は長年、共働きの親の帰りを子供たちと一緒に待ち、子が巣立った後は夫婦二人の間をつないでいた。ところが家庭の事情で私たちが日本とアメリカとを頻繁に往復するようになると、生き物を飼うのは無理になった。
 そんな頃、太陽光で体を振る小さな人形を100円ショップで見つけた。長い間留守をしていても、戻ればいつもカタカタとテーブル上で動いている。その動く姿は、けなげというか、可愛らしいというか。こんなことにも人は慰められるのだと感じた。そしてこの夏のお掃除ロボットの登場だ。
 購入したお掃除ロボットに早速、夫は「おそうじくん」と名をつけた。おそうじくんはよく働く。ベッドの下など、何年も掃除機をかけたことの無い場所までも入り込んで、どっさり埃を集める。こんなに埃がたまっていたよと、集まる埃の量さえも夫を楽しませている。お掃除ロボットは、いまやわが家のペットとなった。
 Sonyからイヌ型のエンタテイメントロボットaibo(アイボ)が発売されたのは1999年、ちょうど20年前のことだという。高齢化の進む今、老人を慰めるためのロボット開発は今後いっそう進むことだろう。【楠瀬明子】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です