大衆食から高級食まで多様化の流れが続く日本食について山本会長は、世界の食として日本食は大きく広がってきており、今年6月にカリフォルニア州で9年ぶりに発表されたミシュランガイドで星を獲得した90店中、ロサンゼルスが25店選ばれ、そのうち日本食はほぼ半数の12店に上ることを強調。「今、ミシェランで星を一番とっているのは、フレンチでもイタリアンでもなく、日本食レストランで、その背景にあるのは、日本食の味、クオリティーの高さが日本食文化への関心とともに広く認識されたことにある」と胸を張る。このエキスポに関しては「明日の日本食の発展への鍵となるものを見つけてもらえればと願っている」と語った。
エキスポでは幅広い客層を持つレストランオーナーをはじめとする参加者が、年に1度の限られた時間の中でビジネスチャンスを逃すまいと、各ブースを回り三つのテーマの専門セミナーに聴き入るなど、全米で出店数が増え続けている日本食の人気の根強さを伺わせた。
今回が初お披露目という「あまさけ」は、同社の数ある商品の中でブースではこれ一本に絞った。豆乳、アーモンドミルク、抹茶、プレーンヨーグルト、ブルーベリー、レモンとソーダ水、トマトジュース割りなどを振る舞った。「スムージーや冷凍すればシャーベットになり、フレッシュフルーツと一緒に」とも。甘酒と聞けば、アルコールが入っていると思われがちだが馬場さんは「それは根気良く伝えていくしかない。麹米と水だけで、この甘さが出る日本の伝統飲料として紹介したい」。市販品の410グラムと825グラムの両ボトルをそろえ、業務用サイズは今後の市場の様子を見る。スターバックスなどのコーヒー店にも狙いを向けるといい「甘いカフェオレとしてやミルクを避けたい人など、動物性が全くなくグルテンフリーでビーガン。抹茶やボバなど人気商品とともに使ってもらえればうれしい。安全でおいしくて健康的なのが一番の売り」と声を弾ませた。
おむすび店「mama musubi」をパサデナで営むキャロル、フィリップ・クワンさん姉弟は「バラエティーのメニューをお客さんに提供したい。いい商品を見つけ、新しい何かを習うために毎年参加
清酒の菊正宗・海外事業部、同課の良津智成課長は、この6月に米市場に投入したばかりの自信の新ブランド「百黙」を手に「ニューヨークで発表して以来、今回が最初のレストランショーなので百黙に絞った」と話し、純米大吟醸、大吟醸、Alt3(オルトスリー=第3の選択)の3種を持ち込んだ。最も高価なオルトスリーは最高級の山田錦で仕込み、ワインのボルドーやオーパス・ワンのように、複数の原酒を同社の熟練ブレンダーがブレンドした。「熟成した古酒をブレンドしているので、複雑な味わいがある」と語る。
大畑社長は掲げたテーマ「Zero Waste」について「環境の持続可能性と経営の収益性の関係を参加者に分かってもらえたと思う。会社や店の利益につながるので、バランスをとりながら長い目で見て続けてほしい」と願った。会場全体を見て回り「毎年、常に各社が新商品を紹介して、参加者が新しいものを見つけられたのがよかった。各社から『いい商談ができた』などの声が多く聞け、セミナーや新しい料理の提案もでき、お客さんの喜ぶ声が聞けたのがうれしい」と喜んだ。
日本食のトレンドは、価格帯、品揃えともに多様化が続くと予想し「ラーメンの人気は高く、ポケもはやり、食は常に新しいものが生み出されるので、そういった新しいものをできる限り紹介したい」と述べ、具体的な例として日本の国民食のカレーを挙げた。カレーはインド発祥だが「日本風にアレンジされたいろいろな料理がアメリカで受け入れられている。裾野が広がれば、日本食の関心も求める人も増える」と力を込め、トレンドの発信に意欲を示した。【永田潤、写真も】