新型コロナウイルス感染症は世界に猛威を奮い犠牲者を生み続けている。予防薬と治療薬が開発されるまでは手探りの戦いが続く。
 そんな中で、日本の感染者、特に死者数が桁違いに低い状況に世界の注目が集まっている。ちなみに日本の死者数はアジアでは高い方だが、本稿執筆の7月初旬で主要国での人口当たりの死者数を日本と比較すると米国は51倍、英国が81倍、スペイン80倍、伊国72倍、スエーデン67倍、仏国57倍、ベルギー109倍という状況だ。日本の死者が少ない理由の科学的検証はまだで、政策の成功か幸運だったのか日本人の生活習慣の効果かDNAか、答えは謎だ。
 内外で言われる日本人の死者が少ない諸説の例は、日本人の清潔好きと衛生意識の高さ、強制力のない外出自粛の要請を多くが守る国民性、飛沫の少ない日本語会話、国民のマスクの習慣、ハグやキスや握手の習慣がなくお辞儀のあいさつ、家に土足で上がらず靴を脱ぎ外の汚染を室内に持ち込まない、よく手洗いする(日本は街に手を洗う清潔なトイレが駅や店舗にたくさんあり、手を出せばお湯が出る。米欧では街に手を洗う場所は駅にすら無く、手を洗うには家に帰るしかない)、国民皆保険制度で費用の心配なく気軽に診てもらえる、医療の質の高さ、街中に歩ける距離に各科クリニックがある、重篤者を重点に死なせない医療、重篤で人工呼吸器に繋がれた患者は日本では10人中9人が生還するが米国では10人中9人が死亡する、これは機械の性能は同等でもどこまで医療を施すかの差がある(昭和医大某教授)、救急車が日本は無料で費用の心配なく呼べる(米国は数千ドル)など。
 これらは個々に直接原因ではなくても皆正しい事実で、総合的に低死者数に繋がる要因かもしれぬ。欧米主要国は日本のPCR検査が少ない点に批判的だが圧倒的に多数の死者を出した自国と比べ日本を奇妙な成功と称している。
 WHOのある上級顧問は日本のコロナ禍取り組みを「日本は医療対応力により死者が非常に少なく、感染症対策と研究水準は世界トップ級で成功例」と称賛し「世界がまねできない日本の力に注目する」と述べていた。【半田俊夫】

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