
3週連続で土曜日にイベントを開催している小東京で17日、名物店や人気店を回るセルフグルメツアーの「HOP」が行われ、日本食通が集う町「小東京」がにぎわった。チェックインで受け取った小東京の地図入りのトートバッグを肩に、パスを首から下げた参加者が、全米日系人博物館(JANM)の前から出発し、思い思いの順に指定の店を回った。
今年で6回目となるデリシャスリトル東京。参加した人々を見ると、カップル、家族連れ、友人同士など実にさまざま。日本人、アジア人に限らず、いろいろな人種、年代の人々だ。フーディーを自称するカップルのアンドリューさんとジジさん。ニューヨークから転居してきたばかりの家族連れ。「小東京が大好きで、地元店を応援したい」とチケットを購入したジェームズ・カレスさんはガールフレンドらと参加。ペットの犬の足取りも軽い。

12歳の娘の「バースデーバッシュ」に友だちグループを招待したお母さんのルーさんは、興味津々の子供たちを引き連れて参加店を回った。 日系人のアラン・ニシオさんは、ティーンエージャーの2人の孫娘サラさんとアレックスさんに、熱心に風月堂の歴史を説明しているところだった。「自分たちの歴史を知るのは大切なこと」と話す。
カフェ・ドルセ前のテーブルで各店から受け取った食べ物を広げていたニュエン姉妹のように、両方のコースのチケットを買ってすべてをみんなでシェアして楽しんでいるという人たちもいれば、1人で大きなクーラーバッグを抱え汗をかきながら「持って帰って主人と食べるのよ」と各店を回っていた、フィリピン系女性のミシェル・ルフォさんのような人もいた。長年のJANMメンバーだというルフォさんのように、「JANMや日系コミュニティーの告知を通じてこのイベントを知った」と話す人のほか、多くの人が「インスタグラムやフェイスブックのシェアでイベントを知って参加した」と述べた。

用意されたコースは2種類。時間を超えて伝統の老舗店をめぐる「Tasty Time Hop」は、創業1903年で小東京で最古の和菓子店の「風月堂」や、その歴史が1935年にさかのぼる「ファー・バー」(創業当時はファー・イースト・カフェと呼ばれた)、昭和の匂いが立ち上る「ミツル」などの名物店を回り、小東京の食の歴史を探訪する。一方、日本のフェスティバルフードを体験する「Mini Matsuri Hop」では「AZAY」のチキンサラダや「タノタ」のたこ焼き、「アロハカフェ」のスパムむすび、さらに「こう楽」「TOT」などが参加し、日本の屋台やお盆祭りの味を探訪する。人気の企画は、チケット250枚が事前に完売した。
「レガシービジネスと呼ばれる古い店と、『Cafe Dulce』や『Tea Master』などモダンな店を合わせてリトル東京を知ってもらいたい。多くの人が参加してくれてうれしい」と、主催した小東京コミュニティー・カウンシルのクリステン・フクシマさんとキサ・イトウさんは顔をほころばす。
好天に恵まれ一般客も多く訪れたこの日の小東京だったが、各参加店前では合計45人のボランティアが専用ステーションを運営しており、一般客の長い列を避けて食べ物を受け取ることができた。
この夏もまだ新型コロナウイルスの影響のため通常のような二世週祭も、各寺院のお盆祭りもほとんど中止されている中で、「当地のお盆祭りで定番のスパムむすびなどで夏を感じ、楽しんでもらいたい」という主催者の願い通り、参加者の顔には大きな笑顔があふれ、ユニークな軽食を体験しながら小東京を心ゆくまで楽しんでいた。
24日(土)はJACCCプラザで、デリシャスリトル東京の最終日のイベント「POP(Picnic On The Plaza)」が開催される。テイクアウトの料理を注文して、ピクニックテーブルで食事をしながら、DJアンドリューの音楽を楽しんだり、午後1時半〜3時には風月堂とAZAYの料理ショーが行われたりする。司会には女優のタムリン・トミタさんが登場する。【長井智子、写真も】