「バンブツノツナガリ」を共作したフローレスさん(左)とトークショーを行うミヤモトさん(写真=マリオ・レイエス)

 小東京の二世週祭の最終日、街頭で行われる盆踊り「ONDO」に、一度でも参加したことがある人なら、ノブコ・ミヤモトの名前は知らなくても「バンブツノツナガリ(万物のつながり)」という曲は知っていることだろう。和楽器と洋楽器の音色に日本語と外国語の歌詞が交ざる美しい曲。セントラル街とサンペドロ街の間の1街で人々が連なり、何重もの輪になって踊る。日本のチャキチャキした雰囲気が伝わる「小東京音頭」もいいが、「バンブツノツナガリ」は異文化の融合、異人種のつながりを身体中に感じながら、とっぷりと踊りに酔いしれることができる名曲中の名曲。その作者が、ミヤモトさんだ。

出版した自伝を披露するミヤモトさん(写真=マリオ・レイエス)

 アクティビストであり、アーティストであり、母でもある日系人のミヤモトさんが10日、「バンブツノツナガリ」を一緒に制作したケタル・フローレスさんとトークショーを行い、ニューアルバム「120,000 Stories」と自伝「Not Yo’ Butterfly: My Long Song of Relocation, Race, Love, and Revolution」を紹介した。全米日系人博物館のデモクラシーセンターから、対面とズーム方式でつないだハイブリッドで開催した。
 日系米国人として生まれたミヤモトさんはバレリーナを目指していたが、その道の途中で人種差別に遭遇した。ミュージカル「王様と私」で役を得たが、黒人民権運動ブラックパンサーとの出会いから舞台のキャリアを投げ打ち、民権運動に身を投じた。自分のアイデンティティーを探し、人権のために闘った、数奇でインスピレーションにあふれるミヤモトさんの人生の全てが読める自伝に、日本語版がまだないのは残念。

 また、ミヤモトさんとフローレスさんが制作した新譜は2枚組で、日系人のアイデンティティーや人種偏見、BLMなどが歌われている。ミヤモトさんが1973年にリリースした「A Grain of Sand: Music for the Struggle by Asians in America」からの曲と、ミヤモトさんが書いた盆踊り用の曲も入れられている。もちろん「バンブツノツナガリ」もだ。

自伝の一部を朗読するミヤモトさん

 「この曲では、仏教会の僧侶から『万物のつながり』という題を与えられて、まず『Circle we dance, no beginning, no ending 』という部分を書いた。それをケタル(フローレスさん)に渡したら、すごいものが出来た」と制作秘話を披露。「二つのカルチャーを合わせるプロセスが何を生み出すかは、出来上がるまで想像もできなかった」と話す。
 「でも、最初は『万物』と聞いて『え、ラ・バンバ?』と思ったのよ」とミヤモトさんが言うと、フローレンスさんが「でも、ラ・バンバも、チカーノ運動(メキシコ人の民権運動)と深いつながりがある曲だからね」と応じた。
 メキシコ人のお盆とも言えるファンダンゴと、日本のお盆をつなげて、ユニバーサルな文化の融合、コミュニティーのつながりを生み出したミヤモトさん。サイン入りニューアルバムと自伝は、全米日系人博物館のストアで購入することができる。
 https://janmstore.com/
【長井智子】

2017年の二世週祭の街頭音頭。やぐらの上で「バンブツノツナガリ」を踊るミヤモトさん(中央)

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