サプライズで表彰されたタムリン・トミタさん(左)。日系コミュニティーを愛し支援を惜しまない

 その一挙一動から、小東京を愛してやまないことが分かる女優のタムリン・トミタさん。彼女の「小東京が好きな理由」を聞けば、あなたもきっと感動して涙が出そうになると思う。誰からも愛される女優、そしてコミュニティーの心温かいリーダーであるトミタさんは、ことに日本街についてはいつでも助けの手を差し伸べようと寄り添っている。   

 24日、日米文化会館前のプラザでは「ピクニック」のイベントが行われていた。ステージではトミタさんを進行役にして、風月堂のブライアン・キトウ氏による和菓子作りのデモンストレーションが注目を集めていた。その司会ぶりからトミタさんが風月堂の和菓子の真のファンであることは間違いなかったが、その時、小さな紅白モチがコロコロとテーブルから転がり落ちると、近くに立っていたトミタさんは「あ!」と反射的に素早くつまみ上げ、パクッと口に収めた。5秒ルール? もちろん、会場は大喝采だ。

凮月堂店主ブライアン・キトウさん(右)のデモンストレーションで司会をするトミタさん

 「だって、まだ作りたてで、温かかったんですもの。もったいないでしょう?」と、明るく言う。
 これまでにもお盆で踊ったり、二世週祭の戴冠式の進行役を務めたり、最近では「セーブ・アワー・シニアーズ」の活動を支援したりと、トミタさんは日系米国人のコミュニティーを育てることに力を注いでいる。
 「これは単純な考えですが、日本人の血を引き日本と日系の文化を愛する私たちの全員が文字通り『家』と呼べる場所があり、そこには非常に長い歴史があり、良いことも悪いこともある。だから、そこから立ち上がるときには、私たちは皆で一緒に立ち上がるのです」と感情を込めて語る。
 「けれど、それは私だけではできない。アイハラさん一家や、LTCC、LTSC、JACCCが力を合わせています」と、小東京のリーダーや団体の名前を挙げる。「私たちは皆、できることをやろうと努力し、それぞれに貢献しています。私の得意分野は話術。しゃべることで報酬を得るのは普段の私の仕事です。この強みを提供することが私のできる貢献。私は、大きな美しいパズルの中の、ただの一片です」
 当日、イベントを主催した小東京コミュニティー・カウンシル(LTCC)は、コロナ危機を乗り切ろうとする日本街を支援したトミタさんの努力をサプライズで顕彰し、彼女を驚かせた。トミタさんはLTCCが実施したコミュニティー・フィーディング・コミュニティー・プログラム(CFC)の重要な支援者だった。同プログラムは、新型コロナウイルスで突然に仕事を失ったサービス業従事者に、地元飲食店からの食事を提供するという相互支援のアイデアで成功を収めた。昨年4月の開始以来20万ドル以上の資金を調達し、84の地元企業を支援し、1万食以上を提供した。

参加者は会場で販売された弁当を食べ、「ピクニック」を楽しんだ

 LTCC役員のクリス・アイハラさんは「小東京が身動きできなかったときに、トミタさんが惜しみなく協力してくれた」と述べ、「当時は非常に困難な時期で、小東京のレストラン、ビジネス、コミュニティー組織にとって、(パンデミックは)大きな脅威だった。タムリン(トミタさん)は、時間だけでなく、経済的にも、本当に寛大に貢献してくれた」と述べ、「タムリン、あなたがしてくれたことの全てをたたえます」と謝意を伝えた。
 マネージング・ディレクターのクリスティン・フクシマさんは、次のような言葉を贈った。「人々はテレビ画面からあなたを知っているが、コミュニティーのためにあなたがしていることや、それが純粋な心から生まれているという、その素晴らしさは知られていない。あなたがいてくれて私たちはとてもラッキーだ。本当にありがとう!」
 同じく役員でカフェ・ドルセを経営するジェームズ・チョイさんは、CFCへのトミタさんの資金提供がいかに決定的だったかを述べた。「そのおかげで、僕たちはより多くのことができるようになり、計画を追求して可能な限り拡大していけるというゴーサインを得た。信号が青に変わったようだった。その後は雪だるま式に加速したが、タムリンはそれを本当に勢い付けてくれた。20万ドルという壮大な資金となっただけでなく、僕たちに多くの自信と意欲を与えてくれた」
 インタビューに答えて、トミタさんは「パンデミックが起こるまで、地元の中小ビジネスがそこにあるのは『当たり前のこと』だと思っていた」と話す。「ああ、風月堂は永遠にここにあるだろう、スエヒロも永遠にここにいるだろう、と、簡単に考えていました」

 トミタさんは小東京に深く懐かしい数々の思い出がある。一番古い記憶は、家族で一街とサンペドロ街にあったカワフク・レストランに行き、イイダ食料品店やアサヒ靴店などを訪れた子ども時代。父のシロウさんはロサンゼルス市警の警官だった。
 「だから父は小東京をよく知っていた。街の人たちも父を知っていた。皆が家族のようだった」と話す。
 1984年、トミタさんは二世週祭女王に選ばれ、ハリウッド女優のキャリアをスタートさせた。最近で特に有名な役柄は、ネットフリックスが制作する「コブラ会」シーズン3のいくつかのエピソードで、映画「The Karate Kid(邦題ベスト・キッド)」のルーツに戻って再演した「クミコ」の役だろう。その「コブラ会」で、トミタさんは、物語がアジア人ヘイトについての対話を提起する「声」となった。

「コブラ会」のシーズン3で、「空手キッド2」ので演じた役を再演すrタムリン・トミタ (Netflix)

 「アジア人ヘイトをしないこと、スケープゴートにしないこと、私たちの歴史を正そうとすること」。これらについて、「自分にそれほど大きなプラットフォームがあるわけではなかったので」と話すトミタさんは、主人公ダニエル役の俳優ラルフ・マッチオに連絡して、このように伝えたのだという。
 「ラルフ、あなたは私の最も近しい人だから頼みたいの。パンデミックから抜け出そうとする今も、私たちはまだ、アジア人ヘイト経験しています。どうかこのことを『コブラ会』の3人のクリエイターたち(ジョシュ・ヒールド、ジョン・ハーウィッツ、ヘイデン・シュロスバーグ)に思い出させてください。あなたと、(ジョニー・ロレンス役の)ビリー・ザブカにも分かってもらいたいです。このメッセージの旗下に集まる人々がコミュニティーにいることに自信をもって、言うべきことを言ってください。『コブラ会』の物語を愛する人々に、格闘シーンではない『静かなる闘い』の素晴らしさを伝えることは、私たち全員の使命ではないかしら」
 現在、トミタさんとテレビ司会者のデビッド・オノさんは、本年は8月14日にバーチャルで開催される二世週祭の女王戴冠式に向けて司会の準備をしている。今年のテーマは、所属する場所を意味する「Ibasho(居場所)」だ。
 最後に、クミコ役については「『カラテキッド2』でのダニエルとのロマンスがもっと見られるかもしれない」とほのめかした。
 「シーズン4は分からないけれど」と、少し悲しそうな顔をした後に、「シーズン5は…」と満面の笑みでおどけてみせた。【グエン・ムラナカ、訳=長井智子、写真=マリオ・レイエス】

タムリン・トミタさん(右から5人目)を顕彰したLTCCの関係者ら

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