ヒーローインタビュー後、場内を一周しファンの大声援に手を振って応える遠藤
3分、クロスを上げアシストを決めた遠藤
先制ゴールをアシストし、チームメートと喜ぶ遠藤

 ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(NWSL)に今季から参戦し、なでしこジャパンのFW遠藤純が所属するロサンゼルス・エンゼルシティーFCは4月29日、本拠地バンク・オブ・カリフォルニア・スタジアムにノースカロライナ・カレッジを迎え開幕戦を戦い、2—1で勝利した。米デビュー戦で初ゴールで飾った遠藤は、1得点1アシストの活躍でチームを歴史的勝利に導き、プレーヤーオブザマッチ(殊勲選手)に選ばれた。 地元ファンの大声援を背にピッチに立ったイレブン。試合開始から3分、早くも左CKのチャンスを得た。左ウイングで先発出場した遠藤は逆右サイドに回り、右サイドにそれてこぼれたボールをすかさず奪った。1人抜き去りゴールライン付近から中央にクロスを放ち、DFバネッサ・ジャイレスが頭で合わせ先制点を挙げた。
 フランチャイズ初ゴールをアシストする演出で歴史に名を刻んだ遠藤は「コーナーキックは結構練習して、特にこぼれた時には対応していたので、『こぼれて来い』と思っていた」と、納得の表情で語った。こぼれ球を奪いに行った際は相手を間接視野で把握していたと言い、ワンタッチで巧みにかわした。絶妙のクロスについては「顔を上げて見た時に真ん中がフリーだったので、とにかくいいボールを、と思って蹴った。ピンポイントでうまくいったので良かった」と喜んだ。

13分、遠藤(18)は米国移籍後、初ゴールを決めた

 13分の追加点は、遠藤による米移籍後、初ゴールだった。右サイドの中盤付近からMDサバンナ・マキャスキルが、左のオープンスペースへロングパスを出す。フリーの遠藤が走り込み、難しい角度から左足で右隅に流し込んだ。初ゴールについて「サブ(マキャスキル)がボール持っていたので、自分は走ってサブの名前をひたすら呼ぶとアイコンタクトができたと思った。『来い』と思ったらボールが来て、後は自分自身が決めるだけだった」と、冷静に対応した。シュートを撃った位置については、「得意のコースだったので、蹴るフォームに入った時には『決められる』と自分の中で思った」と、会心のゴールに声を弾ませた。

スタンドで振られた大きな日の丸を背にプレーする遠藤

 後半は、51分に戦略を変えた相手にゴールを許した。「(敵の戦略変更は)自分でも見えていた。自分も1対1のシーンで強さを見せなければいけなかった」と、失点を悔やんだ。押し込まれることが多かったが、猛追を振り切り「結果的に勝つことができポジティブにとらえたい。自分たちのペースを崩さず、チーム全体が意思疎通をできていたのが良かった」と述べた。
 初勝利について「立ち上がりから自分たちのペースで、早い段階でゴールを決めたい思いがあったから、それができてよかった。前半の最初から相手を苦しめたことが勝ちにつながったと自分では思っている」と強調した。

遠藤のファンのサッカー少女。アマンダちゃん(左、11)とエイミーちゃん(7)のリーさん姉妹

 遠藤はプレシーズンでは6試合に出場したが、得点することができなかった。開幕戦に照準を合わせ「ずっとチームのプレーを人一倍見るようにしてきた。それが今日の1点目と、2点目の自分のゴールに結果的につながった」と、きっちりと結果を出し、なでしこの本領を発揮した。
  

 

【写真上】プレーヤーオブザマッチに選ばれた遠藤が大型スクリーンに映し出された【同下】ヒーローインタビューに応じる遠藤(右から2人目)

 米国デビュー戦は、スタンドを埋めた2万2千人の大観衆が待っていた。これまで、国際試合以外の日本国内でのリーグではチケットが売り切れる試合は無かったという。選手冥利に尽きる至福の時を過ごした半面、「こんなに多くの人の前でサッカーをしたことがなかったので、すごく緊張していた。でも、チームメートから『ジュン(純)ならできる、大丈夫。だから楽しんで』と言われ、その一言で試合をとても楽しめるようになった」と振り返った。
 この日の試合の殊勲選手に選ばれ、フィールドでヒーローインタビューに応じ「おめでとう」と祝福された。「多くのサポーターの応援が力になった。これからもチームを支えて勝たせてほしい」と呼び掛け、大きな声援を浴びた。その後、場内を一周し、ファンに手を振って応えた。ファンのサインと写真撮影のリクエストにも気さくに応じた。
 エンゼルシティーの次戦は、オーランド・プライドを本拠地に迎え、8日(日)午後5時キックオフ。チケットはウェブサイト—
 www.angelcity.com/tickets

フランチャイズのレギュラーシーズン第1戦の先発イレブン。前列右から2人目が遠藤
【写真右】13分、追加点となる米国初ゴールを決め、ガッツポーズする遠藤【同下】追加点を奪いチームメートから祝福を受ける遠藤(左端)
6分、強烈なシュートを放つ遠藤(右)
【写真左】スタンドには、「頑張れ純」の応援バナーが掲げられた【同右】ファンのリクエストに応じ写真撮影する遠藤

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