約2年ぶりの活動再開を祝い乾杯する青島尚重首席領事(テーブル中央)、竹花晴夫前会長(左)、フミ・スターク会長(右)ら参加者

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い約2年間、活動を休止していた日系パイオニアセンターは4日、活動再開を祝うランチョンをモンテベロのクワイエットキャノンで催し、84人が参加した。文化教室で学ぶ生徒の作品が展示され、講師らがあいさつして活動再開に意欲を示した。

あいさつに立つフミ・スターク会長

 昨年10月まで会長を務めた竹花晴夫さんからバトンを渡され11月に就任したフミ・スターク会長は、ロサンゼルス郡の規制緩和の指針に沿って4月から徐々に活動を再開したことを説明。「どのようにしたら、会員の中でも特にシニア会員の皆さんが安全に楽しく、有意義にクラスの活動ができるかと考えた。その結果、これまでの教室運営には安全上のさまざまな欠陥があることに気が付き改善した」と述べた。
 感染対策ための改修や備品の購入費用は、オークランドを拠点に活動する非営利団体「JAコミュニティー・ファンデーション」からの助成金を活用した。同基金は1965年から、日系社会とアジア系社会を支援している。
 スターク会長によれば助成金には「教室で安全に学べる保護手段対策」という名目で応募。内容は三点ー①カーペットを新素材に換えることで、掃除がしやすくなり衛生面が向上すると同時に、古いカーペットでつまずいたりする可能性を少なくする②教室はビルの3階にあり窓を開閉できないため、空気清浄機を購入してウイルスの飛散など空気汚染を減らす③マイクとスピーカーを設置し、聴力が弱った生徒が教室のどの席に座っても聞こえるようにする—という3項目を強調した。

発表会のような展示は、生徒の力作が会場を彩った

 安全性を整えたことに胸を張るスターク会長は、より多くの会員の利用に期待を寄せる。「特にシニア会員がパイオニアセンターに来て、生活の助けになるクラスや、伝統的な文化を学ぶ活動に参加し、より安全に、そして十分に楽しめることを、センターの理事とボランティア一同、心から祈っている」と語り、センターへの支援の継続を呼び掛けた。
 来賓を代表し、4人が祝辞を述べ、パイオニアセンターの前途にエールを送った。南加県人会協議会会長のリチャード・ワタナベさんは、芸術、文化、教育、高齢者への福祉サービスが充実していることを褒め「高齢者が多く住んでいる小東京の中心で活動している。スターク会長と理事を中心に、会員のライフスタイルますますを向上させてほしい」と願った。南加日系商工会議所会頭の竹花晴夫さんは、前会長の立場から、一般の高齢者を支援するソーシャルプログラムの強化と日系主要団体との協力関係の維持を提言した。

 在ロサンゼルス日本総領事館の青島尚重首席領事は、「貴重で有益なさまざまな活動をしている」と称賛し「今後も南カリフォルニアの日系社会の発展のために活動を継続することを祈念している」と述べた。

生徒の作品を鑑賞する参加者

 南加庭園業連盟会長の岩下寿盛さんの音頭で乾杯し、昼食へ。祝賀の余興には日本文化の継承に力を注ぐパイオニアセンターらしく、マセオ・ヘルナンデスさんが率いるイーストLA和太鼓による太鼓演奏や、マイク・ペニーさんによる津軽三味線の演奏が行われ、イベントに花を添えた。
 また、ずらりと並んで会場を彩った作品は、絵手紙川柳、着物の着付け、池坊いけばな、写真、刺し子、かごクラフトのそれぞれのクラスで学んだ生徒らが心を込めて作った力作ばかりで、小さな発表会の雰囲気を醸し出した。即売も行われ、売り上げは活動費に役立てるためにセンターに寄付された。

 講師があいさつに立った。パンデミック中はオンラインを活用せず休止していたクラスが多く、心待ちにしていた再開に意欲を示した。受講内容に関する熱弁は説得力があり、教室で生徒が和気あいあいと学ぶ姿が目に浮かんだ。開講日と時間を伝え「見学に来てください」などと、呼び掛けていた。

ステージ横に飾られた池坊ロサンゼルス支部の南谷泉芳師の作品

 スターク会長は、祝賀ランチョン開催について「パンデミックの間に自宅で待機していた高齢の会員たちを元気付けようと思った」と説明した。ようやく再開にこぎ着けた活動については「2年間も休止していたので戻ってこれない講師や生徒がいるのではないかと心配だった。だが、一生懸命に教える先生、一生懸命学ぼうとする生徒を見ることができて、本当にうれしい」と、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 パンデミックの影響で会員数は半減し、現在の会員数は約250人という。元気で明るいポジティブ思考のスターク会長は「活動休止はネガティブにとらえられがちだが、パンデミックがあったからこそ問題点を把握でき、改善することができた」と述べ、「衛生面を整備したことは『けがの功名』」とピンチを逆手にとる。「受け入れ態勢を整えたので皆さんに安全・安心のサービスが提供できる。ぜひ会員となり利用してほしい」と述べた。(永田潤、写真も)

日系パイオニアセンターの理事会のメンバー。左から4人目がスターク会長

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