アクションが優雅で美しいエバリン役のミシェル・ヨー Photo by Allyson Riggs ©A24

 最近流行のマルチバース(複数の平行世界)を題材にしたSFアクション・コメディー「Everything Everywhere All at Once」は、ロングランで劇場公開した後、配信を開始。そして、未公開映像を加えた劇場再公開が決まった。すでに興業収入は1億ドルを超えており、新進の配給会社A24の最高のヒット作となっている。
 ヒロインのエバリンを演じるのは、アジアを代表するアクション女優ミシェル・ヨー。元ダンサーだった彼女のカンフーアクションはキレが良く、優雅で美しい。本作でもその魅力を存分に発揮している。エバリンの夫に扮するのは「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」や「グーニーズ」で人気子役となったキー・ホイ・クァン。日本ではファンクラブができるほどの人気者だった彼が、久々にカメラの前に登場し、ジャッキー・チェンをほうふつとさせるキュートなルックスでマルチな役を好演している。

別バースでは、有名アクション女優になっていたエバリン Photo by Allyson Riggs ©A24

 ストーリーは、さえないアジア系中年女性エバリンが別世界の自分と意識をリンクさせて悪を倒すために戦うというもの。別世界の自分がそれぞれ違う人生を歩んでいることを知り、これまでの人生でその都度あった選択肢で違うチョイスをした場合にどうなっていたかを目の当たりにする。そして、「もしも…」の世界が無限にあることをわれわれ観客も知る。
 大ヒット作を次々と製作するマーベル社(「アベンジャーズ」シリーズなど)は、近年、マルチバースのアイデアを起用し成功させている。しかし、スーパーヒーローが活躍するマルチバースは、なんだか他人事な感じ。そんな中、本作ではアジア系の、しかも中年女性がマルチバースを経験。そして、「あの時、この人と結婚していなかったら…」という風にパーソナルな別世界が紹介されたりするので親近感がある。人生の分岐点で違う選択をした場合の自分を垣間見ることで、主人公同様、今の自分の人生が成功だったのか失敗だったのかを考えさせられる。そして、「成功」や「失敗」は実は主観的な要素が強いとも気付かされるのだった。

家族(右、キー・ホイ・クァンほか)を守りながら世界を救おうと奮闘するヒロイン、エバリン(中央) Photo by Allyson Riggs ©A24

 Everything Everywhere All at Once 中国系アメリカ人のエバリンは苦難の日を迎えていた。彼女の厳格な父親の滞在と前後して、夫ウェイモンドと経営するコインランドリーの脱税容疑によりIRSで面接を受けることになっていたのだ。そんな折、夫の様子が急変し、「自分は別のバースから来たウェイモンドで、マルチバースを自在に行き来する悪者を倒してほしい」と依頼される。疑うエバリンの目の前で異常事態が起こり、彼女は別バースの自分からリンクした意識により、カンフーの使い手として襲いかかる相手を次々と倒していくのだが…。
 プライム・ビデオ、Apple TV+ほかで配信中。劇場では、未公開映像を加えて再公開される。(はせがわいずみ)

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