前女王のジェイミー・ハサマさん(右)から王冠をかぶせてもらう新女王のヤダさん
2022年度の二世週祭女王に決定したクリスティーン・ヤダさん

 2022年の二世週祭女王を決めるコロネーションボウルが13日午後、小東京のアラタニ劇場で催され、7人の候補者からオレンジ郡日系評議会推薦のクリスティーン・エミコ・ヤダさんが新女王に選ばれた。ヤダさんは「強いチームで新しい挑戦をしたい」と受賞の感激を言葉にした。ファースト・プリンセスにはガーデナ・イブニング・オプティミスト・クラブが推薦したオードリー・エミ・ナカオカさん、ミス・トモダチは米国日系レストラン協会が推薦したマイレ・タバタ・ヤングアスさんが選ばれた。 (長井智子)
 新女王のクリスティーン・エミコ・ヤダさんは23歳。名前が呼ばれ周囲の全ての目が自分に向けられた時に「私なんだ」と実感したという。
 自己紹介のスピーチでは、祖母がよく作ってくれたおかずのエピソードを話した。

さらしを振った華やかな踊り

 「日本とメキシコと米国のスタイルが混ざった『おばあちゃんのおかず』はとてもおいしくて、『秘訣は何か』と聞きましたが『秘密はないのよ、簡単な材料だけ』と言っていました」
 祖母の価値観に影響され栄養士の道を志したというヤダさんはカリフォルニア大学デービス校で学士、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で修士を取得し、現在、管理栄養士になるための実習を受けている。
 コロネーションで候補者が自分の考えを述べるもう一つの機会として事前に質問の内容を知らされずに答える「秘密の質問」の時間がある。「新型コロナウイルスの流行で人々のつながり方が変わった中、文化とコミュニティーを繁栄させるために、あなたが女王になったらどのようにしたいか」との質問に、ヤダさんは「テクノロジーの進歩は驚くべきものがあるが、やっと対面で会える機会が持てるようになった。イベントなどを通じて若い女性たちが日系米国人のコミュニティーに参加するきっかけを作りたい」と述べた。

振袖姿でスピーチするファースト・プリンセスのナカオカさん

 生まれた時から日系米国人のコミュニティーに関わってきたというヤダさん。2年一緒に生活したことがあるという父方の祖母のイツコさんは、日本とメキシコにルーツをもつ日系人で、6月に亡くなったという。コロナ禍のこれまでを「祖母をはじめ、多くのことが失われたりバラバラになったりした時期だった」とし、「女王プログラムは祖母への感謝を伝える素晴らしい機会を与えてくれた」と述べるとともに、「6人の仲間の誰もが大変に優秀で、熱心で、親しみやすい人柄ですばらしい。この力強い仲間と共に(コロナ禍で失われた)これまでを元に戻しつつ、新しいことにも挑戦したい」と、すでに研修を通じて生まれた絆を示しながら、これからの1年の活動に意欲を見せた。
 喜びにあふれるヤダさんの家族の中でも特に2人の妹のコートニーさんとケリーさんは「いつも姉を見上げてきた。姉が選ばれて本当に感激」とうれしさを表現した。

庄司正さんがデザインしたドレスを身にまといステージに登場するミス・トモダチに選ばれたマイレ・タバタ・ヤングアスさん

 推薦団体のオレンジ郡日系評議会は、人生が変わる新しい旅に出発するクリスティーン・ヤダさんの前途を祝し「クリスティーンは現代と将来の世代の日系米国人コミュニティーを代表するロールモデルにふさわしい」と賛辞を送った。
 ファースト・プリンセスに選ばれたオードリー・エミ・ナカオカさんは日本留学で日系米国人としての自分に目覚めた経験を話し、ミス・トモダチに選ばれたマイレ・タバタ・ヤングアスさんは、周囲からバスケットボールをするものと思われていた自分が思い切ってヒップホップダンスの道に飛び込んだことから、型にはまらず自分らしく生きることを学んだと話した。
 この日で女王を卒業して新しい一歩を踏み出した昨年女王のジェイミー・ハサマさんは、新女王とコートのチームに「1年は長いが、常にポジティブな気持ちを持って楽しんで。何かあれば私たちはいつでも支援する」とエールを送った。

【写真上】司会を務め名調子で盛り上げたタムリン・トミタさん(左)とパルマさん【同下】二世週祭コロネーション委員長のキース・イナトミさん(左から2人目)から表彰さる庄司正さん

 戴冠し女王のガウンをまとったヤダさんと6人のプリンセスたち。7人のそれぞれの強みが一つになり、素晴らしい活動をしてくれることが期待される。
 新型コロナウイルスのパンデミックにより、20年のコロネーションは中止され、21年はバーチャルで行われた。今年は19年以来3年ぶりに対面式で催されたが、感染防止策として参加者にマスク着用を求めたり、公演時間を短縮するなどの変更点があった。恒例のイベント前の夕食会が中止され開演時間が早まるなど、今年のコロネーションは大きく変わった。
 7人の候補者はこの日の本番に向けて専門家から日本語、生け花、茶道、着物の着付け、日本舞踊、歩き方、スピーチ、メーキャップなどの研修を受けた成果と共に、推薦を受けた各団体と地域社会の期待を背負って舞台に上がった。オープニングに振袖姿で登場し、和傘とさらしを使った華やかな踊りを見せて大きな拍手を浴びた。これまでなら日本舞踊を1曲披露するところだが「今年は時間がなかったのでオープニングのダンスとなった」とコロネーションの振り付けと舞踊指導を担当する日本舞踊坂東流の坂東秀十美師は説明する。制約がある中、パサデナの日本文化会館で練習を重ねたという7人は、美しく舞台に栄える振袖衣装で見応えも十分に踊り切った。

【写真上】熱唱するシェルドン・レイノルズ【同下】シェルドン・レイノルズのバックダンサーは、二世週祭実行委員のメンバーが務めた

 コロネーションでおなじみの司会は元二世週祭女王で女優のタムリン・トミタさんと名コンビを組むニュースアンカーのデイビッド・オノさんが今回は出演できず、トミタさんの相手役はアジア系の劇団「コールド・トーフ」に所属する俳優のマイケル・パルマさんが務めた。
 今年のコロネーションではTADASHI SHOJIのブランド名で活躍する宮城県出身のドレスデザイナー、庄司正さんが表彰された。庄司さんのドレスは安倍晋三元首相の訪米時のパーティーでミシェル・オバマ元大統領夫人が着用したのをはじめ、多くの著名人から愛用されている。コロネーションには1983年から候補者たちがまとうイブニングドレスを提供しており、その長年の功績がたたえられた。庄司さんは「イベントの成長と自分のビジネスの成長が重なっている」と話し、感謝を述べた。
 昨年は新型コロナのために二世週祭がバーチャル開催となり、アラタニ劇場での戴冠やパレードでのお披露目ができなかった2021年女王とコートが舞台に上がり、過去1年の活動が映像で紹介されると、観衆はひと際大きな拍手を送った。

審査員の紹介を受け拍手に応えるジャパンハウス館長の海部優子さん(写真上)とJBA会長の小林弘典さん

 エンターテインメントは、シェルドン・レイノルズがバンド「ディボーテド・スピリッツ」を従え、アース・ウインド・アンド・ファイヤー在籍時代の名曲「セプテンバー」など3曲を演奏。観客は立ち上がり、ミュージシャンの求めに応じて歌の一部を唱和するなどし、熱気に包まれた。
 女王選考の審査員は弁護士のローラ・ファーバーさん、ジャパンハウス館長の海部優子さん、元二世週女王のティッシュ・オカベ・カトウさん、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)会長の小林弘典さん、俳優のアーロン・タカハシさん、MUFGユニオン銀行マネージングディレクターのジョージ・タナカさんが務めた。
 ロサンゼルスの姉妹都市・名古屋市からの関係者、ハワイの桜祭り女王や北カリフォルニアの桜祭り女王の一行も戴冠式を見守った。
 新女王とコートはこれから1年間、地元の日系社会のさまざまなイベントで活躍するほかハワイ、サンフランシスコの各日系社会を訪問し、文化交流の親善大使の役割も担う。
 14日午後のグランドパレードに振袖姿でフロートに乗って登場しデビューを飾った。

振袖姿でオープニングの踊りを見せる7人の女王候補
2022年度二世週祭の新女王のヤダさん(中央)とコート
クリスティーン・ヤダさんの戴冠を後押しした地元オレンジ郡の大応援団

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