

南加鹿児島県人会が4日、ガーデナの日本文化会館で総会・新年会を開いた。大原フランクさんが宮内マーガレットさんから会長を引き継ぎ、新任のあいさつをした。大原さんは「県人会の主役は皆さん」と話し、皆で考え自ら行動することで県人会を盛り上げようと訴えた。
退任した宮内さんはあいさつで「夢を見ることができれば、それを実現することができる」というウォルト・ディズニーの言葉を引用して、「これから何代にもわたる鹿児島県人会の繁栄を夢見ましょう」と任期の終了を締めくくった。
昨年の活動報告は、ペーパレスを掲げて印刷物の配布を控えプロジェクターによる大画面を中心に行った。新型コロナ禍でも手を休めぬ努力を行い、毎月の定例会議をZoomで続けた。イベントは、Zoomによる新年会を行なった後に対面で春の花見、夏のピクニックなどを敢行したことを報告した。

2019年に就任し、3年間のコロナ禍中に任期を務めた宮内前会長は「県人会への興味を失ってほしくなかったので、Zoomを利用した活動を積極的に続けてきた。Zoomの使用方法がよく分からない高齢の会員には、子どもや孫が手を貸した」と話す。思い切って昨年の花見で対面のイベントを再開した時には、これまであまりイベントに参加しなかった人たちも参加するなどし、パンデミックの中での努力が報われたことを振り返った。
傘下の鹿児島ファンデーションの報告では代表の織田寿子さんが説明を行い、会員子弟への高校卒業祝い金の授与は行われたものの、鹿児島への青少年派遣はコロナ禍のために見送られていることを報告する一方で、Zoomを活用した新しいプログラムが始動していることを紹介した。鹿児島の子どもと米国の子どもが交流する子ども会や、世界の「かごんま(鹿児島)」人を紹介する会などを行っている。さらに今後は活動を「エッセーコンテスト」などにも広げていきたいとした。
理事のタック西さんには、22年にロサンゼルス市から西さんが受けた感謝表彰の賞状授与が行われた。
総会に続いてタック西さんの音頭で乾杯し、昼食とラッフル抽選を楽しみ、最後は「鹿児島おはら節」に合わせて踊りを踊るなどした。

出席者の中には、新会員となってから初めての新年会を楽しむ一家がいた。母、娘夫婦と4歳の孫の3代で参加。母の根岸礼子さんが鹿児島出身で、これまでサンフランシスコに暮らしていたが、リタイアして最近当地に越してきたという。娘の金澤さくらさんが「こちらでまだ知り合いの少ない母が交友を広げられたらいいなと思って」と、入会のきっかけを話した。
当日のオープニングでは、作曲家の福島愛子さんが指導する「エルマリノ日本語児童合唱団」が元気に日本の歌を歌って会場を和ませた。合唱団には、日本語イマーシブ・プログラムのあるカルバーシティーのエルマリノ小学校の生徒を中心に、26人ほどが参加しているという。7〜11歳の子どもたちがかわいい声を響かせた。数曲披露された歌の中でも特に、鹿児島で歌い継がれているご当地ソング「茶わんむしのうた」は、「料理の茶碗蒸しを知らず茶わんに虫が付いていると勘違いする」という楽しい内容の歌で、会場は手拍子で盛り上がった。指導の福島さんは、「19年9月に合唱団を立ち上げてからすぐにコロナ禍となったため、これまであまり発表の機会がなかったが、Zoomで練習をしてきた。これからはぜひ、コミュニティーのいろいろなイベントで歌っていきたい」と意欲を示した。

また、当日夜には鹿児島ファンデーションが主催する国際交流の子ども会「波濤を超えてプロジェクト」が行われた。当地の子ども4人と鹿児島の子ども7人、それに進行役やオブザーバーの大人が混じり、計20人ほどが太平洋を越えて交流した。日本からは珍しく雪が降った鹿児島の様子、当地からは1週間後に迫ったスーパーボウルの話題などを伝え合い、和気あいあいと楽しんだ。カリフォルニアが夜、日本が昼の時間帯にZoomで開催し、今回で12回を数える。このプロジェクトには「世界は広いが、Zoomを使った交流により世界がすぐそばにあることを感じてほしい」という願いが込められている。
今年の鹿児島県人会は3月18日にローランドハイツで花見、8月6日にブエナパークでピクニックを開催することがすでに決まっている。さらに来年には県人会が125周年を迎えることから、節目の記念に向かって準備を進めていくという。南加鹿児島県人会は1899年創立で、南加の県人会として最も長い歴史を誇っている。

