先月ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本は見事3度目の優勝を飾った。快挙に値する。日本で人気スポーツといえば、野球、サッカー、ラグビー、バスケなどが浮かぶ。どれも海外発祥の団体競技だ。では日本発祥といえば、相撲、柔道、空手、剣道、弓道のお家芸を思い起こす。スポーツと武道の定義や明確な違いは諸説あるだろうが、偶然なのか意図的なのか主に個人種目だ。
日本人社会は昔からコミュニティー、団体、和を日常生活で重んじるので、そこから離れる目的で、個人で鍛錬できる運動を作ったのか? 個人主義が強いと考えられる西洋で世界に広がる団体競技が生まれているのも興味深い。個人プレーも含めて楽しめる団体スポーツを考案したのかもしれない。
それぞれの国の歴史的、文化的背景の影響や、国民性、メンタリティー、身体的にも適したスポーツが育つ。例えば、ラグビーは世界的に見ても、イギリス植民地だった地域で根付く傾向がある。南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、サモア、トンガなどだ。人口が多いインドはラグビーより、先に伝わったクリケットの方が断然人気があるのも面白い。イギリスの植民地ではなかった日本でこれほどラグビーが盛んになったのも不思議だ。
野球は見事世界一を達成したが、サッカーやラグビーのワールドカップで日本はいつの日か世界一になれるか? 日本発祥の団体競技で勝負すれば? と目論んでいろいろと調べたところ…駅伝はどうだろう? 個々の力とチームワークが重要だ。オリンピックの陸上種目で最後を飾る華はマラソン。トラック(陸上競技場)内では1600メートルリレーで最高潮に盛り上がる。駅伝は世界での競技人口が少ないためか、五輪種目に採用されていない。各国の諸事情があるのだろうが、なぜ普及しないのか不思議だ。
しかし、普及したら、世界中には足の速い選手はたくさんいるので、逆に駅伝王国の日本は太刀打ちできなくなる懸念もある。
国境を越えて感動を与えるスポーツは素晴らしい。選手たちはけがに気をつけて今後も頑張ってください!(長土居政史)