また一つ、また一つ。ほうほうの体で一歩ずつ問題を解決―日本滞在中の私だ。同年代の友人がぼやく。「個人認証のセキュリティーなど厳しくなって使いづらいし、世の中便利になってるのかどうか分からない」。街並みもしかり、システムもしかり。日本での新しい発見は面白いが、生活に溶け込もうとすると大変だ。
都内の実家における最大の難関はゴミ出しで、燃える、燃えない、資源、リサイクル各種、そして粗大ゴミ。曜日は変則だし、表に出す時間帯も、その「お作法」も決まっている。間違えれば回収されないばかりか、注意書きのシールまで貼られる。ご近所さんの目も気になるし、結局、家族に頼りっ放し。ゴミ出しだけでも「日本に絶対住めない!」と投げ出したくなってしまう。
区役所に行けば、「和暦」に苦労させられる。最近は西暦との併用も多くなってきたそうだが、なぜ和暦を日常生活に使う必要があるのか…と思うのは私だけ?
良かったこともある。尊敬する先輩の老いて木彫り師こと「モロ」さんから、JR東日本の交通機関で使用するプリペイドカード「Suica」が米国購入のiPhoneに設定できて便利だったと聞いたので、挑戦してみた。これまではカードの入った財布を改札のICセンサーにタッチしていたが、携帯電話に設定できれば電話でOK。電話は常に手に持っているし、それに私のようなおばさんが「えっと、お財布、お財布」とモタモタしなくなれば、集団の人の流れも確実によどみなくなるだろう。アプリをダウンロードし、3日がかりでなんとか米国のデビットカードから交通費がドルで落とされる状態になった(と思う)。過程は試練の連続だったがゴールに到達すれば便利で快適だ。
毎日毎日、障害物競走みたい。いや、年齢との競争なのか。ならば楽しめるうちが花ゆえ、頑張ってみる。
日米両政府は観光交流活発化を目的に来年を「日米観光交流年」とするという。電車のホームに降り立てば、そこには外国人に見える人も、アジア人に見える人も、スーツケースを持った旅行者が大勢いて訪日客の多さは実感する。「だけど住むのは大変ですよ」と思う私である。(長井智子)
