大谷がついにドジャースに来た。選手の移籍交渉の過程は、ファンにとってオフシーズンの楽しみだが、大谷のそれは極秘過ぎて、情報は真偽が分からず、うわさが多かった。沈黙を破ったのはドジャースのロバーツ監督で大谷と交渉したと公の場で暴露。超大物を逃しかねない失言などと心配されたが、私が思うにあれは、手応えをつかんだ監督の自信に満ちた「いただき宣言」だった。満面の笑みが語っていた。
契約が大詰めとされる中、多くのデマが飛んだ。憶測の情報しか手に入らないことに業を煮やし、確信犯的にうそ情報を流した善からぬ者がいたのだろう。その極めつけは「大谷がプライベートジェットに乗ってブルージェイズの本拠地トロントに向かっている。24時間以内に決まる」というもので、同僚から聞かされてがく然としたが、約2時間後にはガセネタと分かった。翌日に移籍が発表され「絶望の淵からの逆転サヨナラホームラン」と喜びを表現したいくらい。
吉報に早速、日米にいる大谷ファンの友人にテキストや「お祝いLINE」を送った。皆と喜びを分かち合えると期待したが、当地の日系社会ではLAとOCが明暗を分けた。
LA組はもちろんもろ手を挙げて万々歳。一方、残留を願っていたOC組の心中は穏やかならず、「他州へ行くよりまし」などと歯切れがよくない。「6年間、夢を見させてくれてありがとう」と惜別の情を抱きながら、お隣のライバル球団に唯一無二の「二刀流」を奪われた悔しさをにじませ、「球場が遠くておまけに大渋滞で時間がかかる」「チケット代、駐車代、飲食代、大谷のグッズ代の全てが高い」「客層が悪い」などと本音も吐露。LA組の私は複雑な心境に陥った。
早くも新ユニホームを着た大谷の壁画が登場したらしいが、ここはぜひ、小東京にも一つほしい。母国のスーパースターの壁画が他にあって日本人町にないのは、日本人と日系人の大恥。でっかい壁画見たさに人が集まり、滅法減った日本人観光客も戻り、町起こしにもなる。
大谷の大リーガーとしての第2幕が開ける。新天地での活躍に幸あれ。(永田 潤 )
