寝るのは好きだ。もしかすると特技かもしれない。自分は驚くほど早く眠りにつける。目を閉じ数秒後には寝ている。寝る子は育つというが、きちんと眠れるから、これまで大きな病気もけがもなく、健康でいられるのかもしれない。そんな丈夫な体を与えてくれた両親には感謝しかない。
 その両親も今年で87歳になる。僕の在米生活も32年。考えてみると、日本を離れてから両親と年を越した記憶がない。昨年は個人的に日米を飛び回り、目まぐるしい1年だったし、年末年始は名古屋にいる両親とのんびり過ごそうと決めた。
 12月26日に出発するまでは元気だった。しかし、ミネアポリスからのフライトが良くなかった。機中ひどく寒かったにもかかわらず十分に防寒できず、機内食が極度に少なく感じ空腹を味わい、いつもなら4本くらいは鑑賞する映画もセレクションが悪くどれも楽しめず、さらには得意の睡眠が取れないという最悪の状況で一気に体調が崩れてしまった。
 それでも気持ちだけはしっかり着陸まで持ちこたえ、空港から宿までヘロヘロになりながらも何とかたどりついた。それから36時間、布団に潜り込み、まぶたを閉じてひたすら暗闇の中を浮遊した。記憶をたどっても、過去こんなに長時間、続けて寝たのは、5カ月にわたる22歳の欧米一人旅の後、疲労から寝続けたことだけだ。水分補給のためにペットボトルに手を伸ばすことすらままならないほど衰弱し、トイレに行くのも意識もうろうという状態だった。
 しかし、体が持つ回復力には恐れ入る。長時間ぐっすり眠ったら、食欲が戻り、体も動くようになった。一時は、復調しなかったら両親に会えないし、何のために日本に帰ってきたか分からない、と焦ったが、ぎりぎりセーフで、大みそかに両親と再会できホッとした。
 そして、2024年。元旦は両親と3人で近所の神社へ初詣と穏やかだったが、日本各地に目を向ければ、1日に能登半島地震、2日は羽田空港でのJAL機炎上事故と衝撃の幕開けとなった。今年も何が起こるか分からない毎日が続きそうだが、それでも寝る子は育つ。何があっても睡眠だけは死守したい。(河野 洋)

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