米国に来たばかりの頃、物珍しさも手伝って、そして幼かった子どもたちにねだられて、あるいは仕事に追われて夕食の準備ができなかった時、よくファストフードの世話になった。
しかし年を重ねるたびに、疎遠になり、そして一人暮らしになった今、ファストフードレストランに行くこと自体面倒で、相手がいない限り、今ではよほどでなければ、残り物のおかずやお味噌汁で私の食欲は十分満足している。
ところが去年の暮のある夕暮れ、いつもは素通りするマクドナルドの前で、フィッシュサンドイッチの看板に袖を引かれて、久し振りに一つ買ってみる気になった。ついでにフレンチフライも買って、栄養は偏っているが、「まぁいいか」と夕食にすることにした。
まだ温かみの残っているサンドイッチを袋から出してみると、なんだか以前と比べて一回り小さくなっているような気がする。前に買ったのがだいぶ前のことだから気のせいかもと思ったが、上にのせられたタルタルソースの量がたったの小さじ1杯程度なことに食べる前からがっかりし、ひょいとフライされた魚を持ち上げて、今度は本当に驚いた。本来ならば魚の両脇から少しはみ出しているはずのチーズの座布団が、半分のサイズになってバンにしがみついている。
きっと最後の1切れのチーズが、何かの拍子に半分にちぎれたのだろうと良心的に解釈して(何でお客が良心的に解釈しなければならないのか分からない)、それでもこれは今度行ったときに文句の一つも言うべきだと、携帯で写真を撮った。たかがチーズ半切れで大人気ないが、見過ごせばファストフードの大御所を自認するマクドナルドの信用にかかわるではないか。
1カ月後に再び同じフィッシュサンドイッチを買いに同じ店に行き、写真を見せて文句を言おうと思ったが、食事の時刻でカウンターは長い列ができていた。多くのお客の前で言うべきではなかろうと、そのまま出てきたが、今度こそ全形のチーズを期待して帰宅、包みを開けたところ、なんとチーズは私の期待を裏切って今度も「半分」だった。(川口加代子)
