今年は日本が記録的猛暑という話を聞くたびに申し訳ない気分になっていたが、その強烈な熱波をこの8月ニューヨークまで運んできた立役者たちが大阪の二つのミュージカル劇団だった。一つは小学生から高校生が中心に編成されたジュニア団体「Little★Star」、そして、もう一つは平均年齢が65歳というシニア団体「発起塾」。前者は26人が一体となり妖怪と人間の共存をテーマにした「鬼姫と月の唄」を、後者は全盛期から陰りが見えてきた花売り娘たちが生き残りを懸けて奮闘するコメディー劇「花のクッキー売り娘」を19人が演じた。
来年の大阪万博を記念して二つの異なる団体が結束し、8月22日と24日、ニューヨークのシアターで各作品を上演したが、集まったニューヨーカーたちは、予想を良い意味で裏切る、その質の高さに舌を巻いた。何よりも舞台の役者たちの半端じゃないエネルギーと情熱に、観客は元気をたくさんもらったようだ。
得てしてわれわれは、まだ子どもだからという理由で禁じたり、もう年だからと言って自制したりするが、自分たちが思っている以上に人間の可能性は計り知れないということを忘れていないだろうか。そして、その可能性を信じて、事を成し遂げた時、かけがえのない何かを人は得る。
円安で物価高のニューヨークへの遠征公演、子どもたちは、日本からお米など日本食をスーツケースに潜ませて来米し、Airbnbに滞在、自炊して食事の出費を極限まで抑えた。シニアたちもインスタントのご飯や味噌汁などを持ち込み食費を削って、それでもミュージカルやジャズコンサート、ゴスペルなど、ニューヨークならではのエンターテインメントは大いに楽しみ、ニューヨーク公演を見事に成功させた。
最近の日本は元気がないとか内向きだとか、そんな話をよく耳にしていたが、今回のミュージカル劇団とご一緒して、印象がガラリと変わった。皆が一丸となった時のチームワークは天下一品、日本人はまだまだやれるし、世界でもっと活躍できると思う。そして、優しい思いやりと心配りも世界一だと思う。(河野 洋)

