
米クラシック映画専門チャンネルの「Turner Classic Movies(TCM)」は今月、日本映画界を代表する監督、小津安二郎(1903~1963)の特集企画を実施している。
特集は5日、TCMオリジナルの新作ドキュメンタリー「The Ozu Diaries」(2025年)で幕を開けた。アカデミー賞ノミネート歴を持つダニエル・レイム監督が手がけた同作は小津の人生や創作哲学、残した芸術的遺産に迫る内容で、1カ月にわたる特集編成の核となる。
特集では、小津のキャリアを網羅する20作品を毎週火曜日に放送。低いカメラアングルや緻密に構成された画面、後期作品で際立つ色彩表現など、小津独自の映像言語を改めて紹介する。急須や座布団、季節の花といった日常的な小道具も、画面の中で豊かな意味を帯びる要素として機能する。
小津の作品群は、世界映画史の中でも特に深い余韻を残すものとして評価されている。今回の特集は、30年以上にわたる映画制作の歩みを振り返るテレビ回顧企画となっている。
TCMの番組司会者アリシア・マローンは「小津安二郎は最も多作で著名な日本人映画監督の一人。新作ドキュメンタリーは、その人生と芸術への美しい導入となる。家族や世代の変化、静かな時間の流れを繊細に描いた作品を、新たな観客に届ける機会になる」とコメントしている。
特集は12、19、26日の午後8時から深夜まで放送され、代表作「晩春」「麦秋」「東京物語」などの他、比較的上映機会の少ない作品もラインアップされている。また、映像エッセーシリーズ「Every Frame a Painting」で知られるトニー・チョウとテイラー・ラモスによる新作短編「Ozu in Color」も初公開。小津の映像美とカラー作品への移行を分析する内容となっている。小津作品の魅力を体系的にたどる貴重な機会となりそうだ。
▽特集企画の放送日時は次の通り。
12日(火)〈紀子三部作他〉
午後8時 「晩春」(49年)
午後10時 「麦秋」(51年)
午前0時15分 「東京物語」(53年)
(同日深夜) 「淑女は何を忘れたか」(37年)、「戸田家の兄妹」(41年)、「父ありき」(42年)
19日(火)〈戦後の名作〉
午後8時 「長屋紳士録」(47年)
午後9時半 「風の中の牝鶏」(48年)
午後11時 「お茶漬の味」(52年)
午前1時 「早春」(56年)
午前3時半 「東京暮色」(57年)
26日(火)〈カラー作品〉
午後8時 「浮草」(59年)
午後10時15分 「秋日和」(60年)
午前0時半 「秋刀魚の味」(62年)
午前2時半 「彼岸花」(58年)
午前4時半 「お早よう」(59年)
午前6時15分 「小早川家の秋」(61年)
