日本への帰省時、実家が購読している新聞を読むのが楽しみの一つになっている。特にローカルニュースのページは情報の宝庫で、地元・三重県で行われている取り組みや新しくオープンしたレストラン店主の横顔など、紙面の隅々まで読むのは至福の時間だ。
今夏、地元のサッカーチーム「アトレチコ鈴鹿」に復帰したキングカズこと三浦和良選手の復帰後初の試合を観戦することができたのも、新聞記事のおかげだった。57歳現役のゴール前でのアグレッシブなプレーに感動したと同時に、入場料千円の安さに驚き、約千人という観客数の少なさには少しがっかりした。
五輪が開催された今夏はまた、日本人アスリートの話題も紙面をにぎわせた。わが地元からは体操の杉野正尭選手(25)が、パリ代表選考会の最終予選で五輪への切符をゲット。前回の東京五輪では僅差で落選する悔しさを味わい、今回悲願の代表入りを果たした。
杉野選手はおいの中学校の2年先輩で、さらにお母さまが姉の同僚ということもあり、かなりの親近感を抱いて特集記事を読んだ。3兄弟の末っ子で、兄2人に影響されて津市のクラブで体操を始めたという杉野選手は、高校2年の時に父親が病気で他界するつらい経験をしている。五輪という大舞台で重圧を押しのけて大活躍する姿に涙が出た。天国のお父さんも大喜びされただろう。
今夏の帰省中には、「南カリフォルニア三重県人会」が定住外国人を支援する県内の団体に寄付を行ったという記事や、この「磁針」欄に執筆する河野洋さんがプロデュースする、名古屋拠点のちんどん屋グループのルート66横断を追ったロードムービーについての記事も目に飛び込んできて、不思議なご縁を感じた。
インターネットで記事を読む際、注意したいのが「アルゴリズム」と呼ばれる仕掛けだ。これは、読者の検索履歴を分析して興味や関心のあるニュースを「レコメンド」する機能で、読み手の視野が気付かないうちに限られていってしまう恐れがある。それに比べ、紙を広げて読む新聞は読者に新たな興味を抱かせ、幅広い情報に触れさせてくれる。新聞は、知見を広げる絶好のツールだと思う。(平野真紀)
