英エコノミスト誌は「第二の人生は46歳から始まる」と書いている。幸福度を金銭の効用を指数にするのではなく、人生に対するより幅広い満足度を指数にしてはじき出した「人生のU字カーブ」(U-Curve of Life)という理論に基づく。
確かに、幸福度は、若い頃は高い。中年期に入ると、社会的地位や財力は上がる。が、その一方で、肉体的な衰えが忍び寄ってくる。老年期に近づくにつれ、活力、頭の回転力、記憶力、容姿は以前よりも劣っていく。
だが、エコノミスト誌によれば、「別の視点からとらえてみると、その時期から人間は、それまで一生懸命、追い求めてきたものを手に入れることができる」というのである。
「人生とは、太陽が輝く高地から薄暗い死の谷へとゆっくりと下っていく道ではない。むしろ、U字カーブなのだ。その折り返し点が46歳だと、経済学者たちはデータを基に断言している」
46歳とは、人生90の中間点ということなのだろう。
今年2月に93年の生涯を閉じた作家の曽野綾子さんは、生前、自身の死生観についてこう述べていた。
「人は適当な時に死ぬ義務がある。ごく自然にこの世を辞するのだ。それで初めて人間らしい尊厳を保った、いい生涯を送ったことになる」
言い換えれば、尊厳を守ることと、幸福とは表裏一体、ということ。
確かに、曽野さん自身、「天上の春」「神の汚れた手」はじめ数々の小説、評論を生み出したのは46歳以降からだった。(高濱 賛)
