寄付金の贈呈。右から山口さん、敬老の大石さん、奈良さん
 日本で中高年の女性に人気のファッションウィッグを自社で製造・販売する「ティンカ」社(本社東京)の社長山口佳津恵さんが来米し、同社のパートナーでメイキャップアーティストの奈良佳緒里さんとともに1月30日、ボイルハイツの敬老引退者ホームを訪れ、寄付金を贈った。寄付は山口さんのビジネスパートナーの「クラッシー」社(本社福岡)の社長江頭千恵さんと3人共同で行い、計4000ドルのチェックを大石剛施設長に手渡した。
 6年前に起業した山口さんは、おしゃれな50、60代の女性をターゲットに絞り、流行に合わせて商品を開発。ヘアースタイルは、ショートにロング、ボブ、カールのレイアーなど6種から好みが選べる。色を豊富に揃え日本人には黒と茶色が人気だ。軽く、通気性に優れ機能的で、被り心地もいい。分け目があり、地髪と見分けがつかない自然な仕上がりで、顧客の中には5、6個持っている人もいるという。
 10年ほど前から、エミー賞を受賞した美容のエキスパートの奈良さんをアドバイザーとして起用。奈良さんとともに試行錯誤を重ね、新たな商品を生み出している。「カオリ・ファッションウィッグ」として商標登録してブランド化し、ファッショナブルなデザインが人気を呼んでいる。
 奈良さんはイメージキャラクターも務め、自ら商品を着用し、テレビショッピングの「QVC JAPAN」に出演。巧みな話術を披露すると、笑い転げて注文を忘れる視聴者も多いという。機能とデザインの良さから、日本全国から多くの問い合わせがあるといい、業績を伸ばしている。
 ビジネスで成功を収めた富を、寄付で還元し日系社会に貢献する山口さん。その切っ掛けは、敬老の支援者で慈善家の奈良さんの志に感銘を受けたからだ。敬老への寄付は3年前から行い、日本の老人ホームは暗いイメージを抱いていたというが「敬老は共同生活だけど開放的な雰囲気で、プライベートが確保されていい。お年寄りがニコニコ笑って暮らしていて、すばらしい」と語り、支援継続の意志を示した。【永田潤、写真も】

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