握力が弱いから、びんや缶のふたを開けるのに苦労する。米国はいろいろと便利な道具があって、もち論、びんのふた開け器も。通販で購入したのは、大きなペンチのような器具。だが、それを握る力も無い人間にはとてもとても…。飲料水のガロンのボトルにも苦戦する。一発で開く時とそうでない時があり、これが私の健康のバロメーターにもなっている。友人が教えてくれたのが、輪ゴムの太いの。ふたに巻き付け、自分の力で開ける。何種類か揃え、大きいびん、小さいボトルなどと使い分けてこれは重宝している。
 紙パック牛乳の開閉がまた、ひと苦労。のり付けがきついのか、きれいに開けられるのはまれで、指先に力を込めてやっと広げた隙間をフォークでこじ開けるものだから、しどけない姿になり、毎日注ぐたびに不快な思いをしなくてはならない。日本ではこんなことはなかった。
 日本の製品は小柄で力の弱い人間にも親切だ。それに、いろいろな面で工夫が凝らされている。ティッシュペーペーの箱などは、使い終わって捨てる時のために、箱のつぶし方まで点線で指図してある親切さである。日本から送ってくれたクッキーを開封しようとして、箱をつぶすためのミシン目を間違って先に破ってしまい、失敗したこともあるが。
 中でもすぐれものはインスタントコーヒーの詰め替えパック。筒状のレフィルをびんの上に下向きに重ね、ぐいっと押すと、コーヒーの顆粒は瞬時にびんの中へ。いたく感激した私は、友達の前でわざわざそれを実演するのである。紙パックで軽く、日本からの送料も節約出来る。本体の四角いびんは、プラキャップを押すと閉まり、ちょっとひねるだけで簡単に開くのも気に入っている。
 M社のチョコボールの箱もなかなかのもの。薄い平らな紙ぶたなのに指先で押さえるだけで閉まるのだ。あまりにけなげで、チョコが終わった空箱もクリップや切手などの小物入れに使っている。
 便利さ、使いやすさに心を配るのは日本人の特性なのだろうか。「必要は発明の母」というが、ビッグな図体のアメリカ人にはその必要もないのかもしれない。【中島千絵】

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