ボブ・ディランの歌の邦題と同じように、世の移り変わりはその時代に生きた人たちの価値観や観点で大きく変わる。自分が体制側になったという気は全くないが、まだ十代だった当時一般には受け入れられていないと思っていたことが受け入れられ、立ち位置が変わってきていることに気付くことが最近よくある。
 医療用に限り販売が合法だった大麻/マリファナが、今年からカリフォルニア州では嗜好用も合法になったこともその一つ。四半期で6千万ドルを超える税収になった。カリフォルニア以外でも幾つかの州では解禁されているが、連邦法では非合法だ。国外ではウルグアイに続き、カナダが今年中に嗜好用も合法になるとのこと。
 マリファナと人間の歴史は古いが、近年では60年代にヒッピーたちの間で広がり一般にも広がっていった。知覚の扉を広げると詠われ、平和のシンボル、カウンターカルチャーの旗印として話題になったが、売買・所持とも違法だった。半世紀の時間を経て幾つかの州で合法化に辿り着いた。取り締るより、合法化して税金を取ったほうが得策だという結論に達したのかもしれない。
 現在はアメリカ全土でマリファナの喫煙や微量の所持で留置所へ送られることはまれだ。ヨーロッパでもオランダをはじめ、複数の国でほぼ解禁状態だ。これがアジアの国になるとマレーシアや中国では極刑になる場合もある。日本では使用、所持、売買は違法で有罪になれば刑務所行きになる。
 マリファナ摂取が直接の原因で、死に至るような事故が起きたという話もほとんど聞かないので、飲酒と同じ程度の危険性しかない。ただこれは通常の人間の場合で、精神に障害のある人たちには当てはまらない場合があることが判明している。マリファナ摂取ではどちらかといえばダウナーとしての作用が多くメロー、スローになるのだが、統合失調症、双極性障害のある人たちには反対に作用することもあるようで、暴力的な行動に出やすくなるといった報告もある。銃規制同様、購買者の病歴、バックグラウンド調査など販売時に何らかの義務付けが必要だろう。【清水一路】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です