延長18回の死闘をサヨナラホームランという劇的勝利で飾ったドジャース。ワールドシリーズ(WS)史上、最長だったらしく、決着が付くまで、なんと7時間20分を要した。沸きに沸いた地元球場で、幸運にも私もその歴史的瞬間の目撃者の1人となった。ダラダラ、点数が入らない延長戦は、飽き飽きするものだが、やはり30球団の頂点を争う大舞台は違っていた。
 深夜12時を過ぎ日付けが変わっても帰るファンは少なかった。これほど長い試合は、人生に一度しかお目にかかることができないだろう。またファンが、2年連続でこのシリーズを地元で応援できることもそうはない。昨年は最終の第7戦で敗れ、雪辱に燃える執念が伝わってきた。だが、エースを先発に立て、背水の陣で臨んだ試合は惨敗。しかも、敵の歓喜の渦を地元ファンに昨年に続き見せてしまい、さぞ悔しかったことだろう。
 ドジャースのロバーツ監督、レッドソックスのコーラ監督は、ともにドジャースでプレーし気心の知れた仲。当時は野茂、石井両投手が在籍したため、よく取材に訪れた。2人とも練習熱心で、記者の質問にも優しく答えてくれ、いい印象しか残っていない。近年は若い監督が起用されることが多く、40代の若々しい監督対決が楽しみでしょうがなかった。
 コーラ監督は就任1年目で、プエルトリコ出身者がワールドシリーズを制したのは、このたびが初めてだという。イチローや松井、今年は大谷などの活躍で日本は大騒ぎしてきたが、大リーグ初の日本人監督の誕生を見てみたい。それを望む声すら聞こえてこないのが少し寂しい。通訳に頼っていたのでは、いつになっても無理だろう。
 ロバーツ監督は、接戦を落とした第4戦後の会見で、記者から「トランプ大統領が、好投していた先発投手をマウンドから下ろし合点がいかない」と、ツイートしたことを知らせた。「1人の意見として受け止める。チームの内情を知っているとは思えない」と返し、「さすが」と思わせた。来季が楽しみ。大統領には敗者を慰めてもらいたかったが、逆に批判したのは、ある意味ですごく感心した。【永田 潤】

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